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とある赤レンガ倉庫の研究ノート③

4月16日、2度目のゼミ。

前回、被服支廠倉庫を意匠(デザイン)、構造、配置計画の3つの視点から捕えてみることをアドバイスされ、今回はそれらの視点に対して、ひとまず手持ちの資料でどのように調査を進めていけるか、その見通しを発表しました。

結果は、前回同様、可もなく不可もなく(笑)。
研究として王道のコースを進んでいるとのことです。
間違ってはいないようですね。

発表の概要は以下の通り

・配置計画について 
 →防衛研究所資料を利用し、石丸紀興氏の研究を発展させることから
・意匠について
 →大野勉氏、初田亨氏の研究を元に、改めて陸軍の倉庫建築を把握してゆく
・構造
 →東京、大阪と広島被服支廠倉庫との比較、のための資料収集。

そして全国のどこに師団(1万~2万人規模の軍隊)が設置され、それら師団にどの陸軍工廠が存在したのか、その全体像を把握するべく製作したのが、以下の表です。
あくまでゼミでの発表物であり、正確さはありません。
他での参照はお控えください。

陸軍の工廠-01

陸軍の工廠-02

陸軍の工廠-03


この表の□を穴埋めしていけば、ひとまず全体像は把握できるだろうというものです。そしてこの全体的な視野を持ちつつ、各工廠における倉庫の特徴を、先に述べた3つの視点で捉え、広島倉庫の特徴を浮かび上がらせようという方法です。

ここで用語解説ですが、そもそも工廠(こうしょう)とは、軍のお抱え工場というニュアンスで、元の言葉は、英語ではarsenalです。戦争を遂行するには兵器と人だけではなく、大量の軍服や食料、補給措置が必要です。軍にはそれらの製造を一通り自前で賄う能力があり、それらを担う軍の工場こそ、工廠だったというワケです。
陸軍はおおまかに4種類の工廠を運営していて、

兵器補給廠(兵器廠):各師団に設置され、兵器を補給する。
砲兵工廠(造兵廠):兵器を製造する。
被服廠:軍服等の製造・補給を担う。
糧秣廠:保存食品等の製造、食料の補給を担う。

等がありました。他にも、航空工廠等特別な工廠もありました。

広島には廣島陸軍兵器支廠、廣島陸軍被服支廠、宇品陸軍糧秣廠、さらに東京第二造兵廠分所として、大久野島の毒ガス製造所(忠海製造所)がありました。

市内に3工廠以上が揃っているというのは、画像の表で見ると、東京、名古屋、大阪に次ぐ規模です。軍都広島の重要性がうかがえます。

さて、今日はこの辺りで。

今年度はまだ始まったばかり。研究も王道を進めていることがわかりましたし、このまましばらくは、堅実に進めていきたいと思います。

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