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自分らしさなんてない?~恐るべき同調圧力~

人生を充実させるためには「自分に嘘をつかない」ことが大切。

いわゆる「自分らしく生きる」ということなのですが、この「自分らしさ」って結構な曲者。

この世界では「オリジナル」になるって本当に難しくて、どれだけ斬新なことでも、何かしらの影響を受けているのですよね。

しかも、影響を受けていることに気づいていないなんてこもある。

そんな状態の極端なものが「同調圧力」でしょう。

僕たち人間は社会性の生きものですので、所属する環境に強い影響をうけるのです。

特に特定の環境下では、その圧力が一層強まることがある。

本記事では、「同調圧力が強くなりやすい3つの環境とその対処法」についてさくっとまとめております。

ぜひとも、自分を成長させるためにも、一つの価値観に固執しないようにしてくださいね。

動画はこちら👇


▼環境がもたらす「同調圧力」の力

こんな記事を書いておきながら、「自分らしく生きなさい!」と勧めている訳ではありません。

むしろ、「自分らしい」と思っていたことが、その環境による偏った価値観になっていないか振り返るきっかけとなればいいなぁと考えています。

何事もいろんな角度から可能性を追求できた方が楽しいですからね。

では、「同調圧力が強まってしまう環境」を3つ見ていきましょう。

①閉鎖的な環境

閉鎖的な環境とは、学校のクラスや部活動、会社の部署など、限られた人間関係の中で日々を過ごす場所を指しています。

このような環境で同調圧力が強まる主な理由は、選択肢や逃げ場の少なさにあります。

社会心理学者ソロモン・アッシュさんがおもしろい実験をしてくれていますので紹介しますね。

アッシュさんの実験では、1人の実験参加者を複数の実験協力者(サクラ)と同じグループに配置しました。

挑戦してもらったのは、「線の長さを比較する」というめちゃくちゃ簡単なテストです。

冷静に考えれば間違えるはずがないのですが、サクラたちが意図的に次々と間違った回答をすると、被験者の37%が集団の誤った判断に同調するという結果が得られたのです。

きっと、最初は「あれっ?」と思ったのでしょう。

「おかしいな。」と思いながらも、次々と自分とは違った回答が続くと、次第に間違った回答が正答なんだと思い込んでしまうのです。

学校生活での制服の着こなしや、会社での残業など、多数派の生活習慣についつい引っ張られてしまうのも同じ。

やはり、「周囲と同じ」という意識が安心感を得られのですよね。

一方で、個性や自主性が失われる危険性もあることは自明の理。

このような状況への対処法としては、「小さな違い」を大切にすることが一つの方法です。

多数派とは完全に真逆へ進むというのは、かなりきついでしょう。

しかし、そんな環境でも「自分らしさ」を忘れずにいたいのであれば、少しずつ表現していくことが助けとなります。

そんなあなたの「自分らしさ」に共感する人が現れれば、その環境の価値観がガラッと変わるかもしれません。

②階層構造がはっきりしている環境

日本の組織文化によく見られる特徴として、明確な階層構造があります。

このような環境では、上位者の意見や指示に逆らいにくい雰囲気が生まれやすいため、同調圧力が強まります。

スタンレー・ミルグラムさんが行った恐ろしい実験が有名ですよね。

この実験では、実験参加者に「教師」役を演じてもらい、「生徒」(実際は俳優)に電気ショックを与えるよう指示しました。

「そんなことできない!」と思うでしょう。

しかし、驚くべきことに、65%の被験者が権威者(実験者)の指示に従い、危険なレベルまで電圧を上げる結果となってのです。

このような恐怖体験は極端な例ですが、会社における「上からの指示だから」という理由での意思決定や、部活動での「先輩の言うことは絶対」といった風潮は、まだまだ残っているでしょう。

この状況を改善するためには、「建設的な質問」を心がけることが有効です。

相手は、上司や先輩ですから、さすがに反対意見することすら憚られるかもしれません。

しかし、お互いにとってより良い環境を整えていくためには、話し合うしかありません。

感情に偏った主張をするのではなく、「なぜそのような方法を取るのか」「他の選択肢は考えられないか」といった質問を丁寧に行うことで、上位者の再考を促すことができればこっちのもの。

まぁ、言うほど簡単ではありませんが。

③同質性が高い環境

同じ趣味や価値観を持つ人々が集まるコミュニティは、一見居心地が良いように感じられますが、実は同調圧力が強く働く環境の一つです。

この現象は、社会的アイデンティティ理論によって説明されます。

人間には所属集団との一体感を保とうとする心理があり、それが時として過剰な同調行動につながります。

ちょっと難しい話題となってきましたが、ファンのコミュニティや、政治的信念を共有するグループなどをイメージすると分かりやすいですよね。

推し文化が定着してきた現代では、自分の推しがネガティブ対応を受けたことを自分のことのように嘆く姿は珍しくありません。

そういった環境では、集団の主流派と異なる意見や感覚をもっていても、それを表明することが難しくなります。

このような状況への対処法としては、意識的に「多様性」を取り入れることが効果的です。

例えば、一つのファンコミュニティだけに入れ込むのではなく、異なる趣味のコミュニティにも所属してみたり、多様な文化をもつ人々と交流したりすることで、視野を広げ、より柔軟に考えることができるでしょう。

これも、言うほど簡単ではありませんので、事は慎重に進めてくださいね。

▼まとめ

本記事では、「同調圧力が生まれやすい環境」について紹介しました。

元も子もないまとめですが、同調圧力を完全に排除することは困難です。

同調圧力に居心地のよさを感じている人もいますからね。

しかし、「自分らしさ」を追い求めるのであれば、同調圧力に囚われたままでいるのは堅苦しいでしょう。

僕たちは環境に影響されることを理解し、適切な対処法を知ることで、より自分らしい生き方を実現することが可能です。

周囲との調和を保ちつつも、自身の核となる部分はしっかりと保持すること。

そのようなバランスが、「自分らしく生きる鍵」となるのです。

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