太陽は悪なやつ(今でも夏が好き?)
まあ、暑い……。
皆さまは夏休みを楽しむことができただろうか?
こう暑いと、外にいても以前ほど楽しくないというか、苦痛が占めるウエイトが高まっているはずだ。
ちなみにわたしの家族は、わたしの夏休みがないという事情もあるのだけど、休みの日も家に引きこもりになりがちだった。みんな、夏の休日をどう楽しんでいるのだろうか。近所の公園からは人影が消滅していた(本当に気になるのでよかったらコメント欄で教えてください)。
さて、毎年のように最高気温が記録を更新していくので、そろそろ日本人の価値観に転換が起こるのではないかと思っている。わたしは昔から夏が嫌いなのでよくわからないけど、体感的には、夏が好きな人が多すぎる。多すぎた。
夏が好きなことがデフォルトになっていて、夏に反論することが憚られた。
「夏が好きじゃないやつなんているの?」「夏は恋の季節でしょ」「夏って、意味もなくワクワクする」
そんな声が蝉しぐれのように聞こえてきそうだ。個人の感想なので気にしないでいただきたいのだけど、わたしはこの蝉しぐれを書いていてぞわぞわした。
わたしが少数派なのはわかっている。日本の過去から現在にいたるヒット曲も多数派を応援する。
これまでの夏が大好きな気持ちが強すぎて、みんな冷静に考えられなくなっていると思うのだけど、夏って、今、本当にそんないいものですか? つらさのほうがちょっとずつ勝ってきていませんか? 花火大会、来年も本当に行きたいですか?
たぶん、「そろそろしんどいですわ」と答える人が増えてきているのではないかと思う。これから温暖化が進むと、もっとその割合が増える。そうすると、過去のヒットソングたちも援護しきれなくなる。人々は、最後の花火まで耐えられなくなる。
この価値観の転換は、日本人にとってかなり大きな話だと思う。というのも、夏大好きが、なんの違和感もなく受け入れられるのは、太陽信仰とつながっていると考えられるからだ。日本では古来より太陽が正義だ。天照大神は、太陽の神様。
太陽は、すべての物に対する恵みなのだから、そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれない。それが、そうでもないのだ。太陽が悪の文化圏もある。
中東の炎天下が、とんでもない代物なのはなんとなく想像がつくと思うが、実際に中東の暑い地域を訪れた人の話では、ほとんどレーザーのような感じらしい。素肌をさらすことができない。建物の陰から陰にぱっと移動しなければならない。
そういう地域では、太陽は悪とならざるを得ない。平和と安らぎをもたらしてくれる夜の闇こそが正義。それがアラビアンナイトの世界観。
わたしは人間の価値観がそこまで反転するものなのかと衝撃を受けた。だから、人間の価値観なんてどうなるかわからない。これから日本の夏は、いったいどうなってしまうのだろう?
「夏が大好きだったなあ……」
「また、おじいちゃんが言ってる……。平成生まれの人が言うことはよくわからないよ」
わたしの想像力では、そんな世代間ギャップあるあるが生まれることくらいしか思いつかない。
あとは、価値観とはまた別の話だが、次にテレワークを大きく推進するイベントは、感染症ではなく、熱波かもしれないとひそかに思っている。
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