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「町」が繋いだ偶然~高石ともやさんの訃報に寄せて~

メッセージ・フォークの旗手、高石ともやさんが死去82歳 「受験生ブルース」


 フォークシンガーの高石ともやさんが亡くなられたそうだ。
 実は京都の盲学校に通っていた10数年前、高石さんと共演させてもらったことがあった。芸術鑑賞会に高石さんが盲学校にライブに来てくれた時のアンコールで、高石さんの楽曲「街」を、当時所属していた合唱部で一緒に歌わせてもらったのだ。
 今思うと大変失礼な話なのだが、当時の私は高石さんの存在をほとんど存じ上げていなかった。なんて陽気なおじさんなんだろうというのが、高石さんに対しての第1印象だった。まあその分本番ではへんに緊張することなくリラックスして歌えたのでよかったのかもしれないが。

 その時のことで今でもよく覚えているのが、歌い終えた後、伴奏をしてくださった合唱部顧問のO先生が、学生時代高石さんのラジオ番組のリスナーだったようで、高石さんを目の前に「生きていてよかった!」と叫んでいたのがとても衝撃的だった。普段はめちゃくちゃ厳しいO先生が、その瞬間少女になったのを見て、陽気なおじさんだと思っていた高石さんが、実はものすごく有名な方だったんだなあと今更のように思い知ったのだった。

 京都の盲学校を卒業してから1.2年がたった頃。その当時通っていた地元のB型作業所に、海外からの留学生たちが研修に来たことがあった。研修の最後に、私たちに日本語で歌をプレゼントしてくれるということになり、その時に歌ってくれたのが、高石さんの「街」だったのだ。
 なんという偶然だろうか。本当にビックリした。
 「この曲知ってる!京都にいた頃合唱部で歌ったことがある」
 私が思わずそう声に出すと、「じゃああなたも一緒に歌おうよ」とかたことの日本語で誘ってくれた。そして彼らと一緒にもう1度「街」を歌った。なんだか不思議な体験だった。
 海外から来た彼らがなぜ高石さんの「街」を知っていたのだろうか。いったいどこでこの曲を覚えたのだろうか。聞いてみたかったけれど、自分にはそこまでの英語力がなくて聞けなかったのが非常に悔やまれた。

 と、そんなことを、高石さんの訃報のニュースを知って改めて思い出したのだった。ご冥福をお祈りします。

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