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短歌二十二首 【2024年6月まとめ】


【6月自選五首】


むしゃくしゃを蹴り飛ばしたら真夜中のドライブスルーですき家に寄ってく

ふたたびの逢瀬に染めるかんばせをいかなる花の色にたとへむ

天の河ひつくりかへして土砂降りの涙としてゐる星祝ほしいはひの夜

終わらない夏に憧れブルーハワイぶちまけるように飛び込む 飛沫しぶき

あとがきも余すことなく読みをへて閉ぢたる本のため息をきく


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ひょっとしてあなたも月の里人さとびとで虹の入り江のそばに住んでた?

あじさゐにとまつている草かげろふの翅に透かしてみる初夏の陽射し

縁石のうえを歩くバランスで ともだちじゃない境目はどこ?

絶望と希望をないまぜに 乾き 救命浮標となるべき愛だ

子らの手を引かぬ腕こんなにも軽く歌集を何冊買えるだろうか

トットットッ眠りながらも駆けている心悸しんきをゆったりゆったり撫でる

微弱なるフリーWi-Fiのつながりであなたの好きなタイプをさぐる

生活とふ家族の歯車まはすため一番大事は母の健康

歯に穴があいてしまった 歯医者まであと二日 空洞の底の痛み

子を叱る感情の荒波の中でうずくまっている幼きわたし

色のない自分となってカルピスに牛乳そそぎかきまぜる朝

すてきです あるある わかるよ がんばって いろんな気持ちを込めてる「いいね」

羽づくろひして舞ひ落ちるひとひらを行方なき手紙に貼りませう

相聞さうもんを詠ひあふやうに七年前交はした約束、雨に染む夢

うずくまるぼくの涙をしつとりと舌で舐めとるきみのやさしさ

ちょっとずつ蕾を剥いでいくように知ってくださいわたしの花柱かちゅう

てのひらで包み込みあたためませう 孵ると信じ推敲する短歌うた




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