短歌二十一首 【2024年8月まとめ】
【8月自選五首】
リビングでだめになる午後 母と子でクールなペンギンさんを取り合う
藍色のカーテンぜんぶ捨てたのに思ひ出はまだ空き部屋に巣くふ
ぱ、い、な、つ、ぷ、る、うしろ姿にいつまでもとらはれてゐる夏の青天
湿原に沈む秘めごと数ふなかれ 少女の影は迷宮に消ゆ
しろたへの波が寄すればいざよひの月こそ出でめ袖はぬらさじ
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土曜日の朝六時半、子の居らぬリビング静か 蝉のこゑ聞く
あさがほの鉢をかかへて帰る子の髪に花咲くディープマゼンタ
猫吸へばそれは愛情 汗くさき吾子のつむりを嗅ぐのも愛情
苺ジャム煮つむる夜は夢のごとく恋のごとくにあまやかな月
(平穏ナ終末ヲ)切に願つても火球はみなに降りそそぐだらう
見えずとも包まれゐたり かなしみとともに踊れる吾が胸の緋
プライドを打ち砕かれたきみは今日花火をきれいと思えていますか
苛々をおさめられぬまま長針は日を跨ぎたりむなしき夜空
琵琶湖の青もとめてや来む しあはせを呼ぶといはるる瑠璃色の蜂
追ひかけていつたのだらう祖母の背を 毛布のへこみそのままにして
あなたへの言葉をさがす 平行四辺形の対角にゐるひと
くれなゐの髪にくちづけ花園に迷ひこみゆくぼくの初恋
まだきみがおなかにゐるころ乗つたのよ家族四人で並ぶ観覧車
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