短歌二十首 【2024年2月まとめ】
【2月自選五首】
お手本のとおりきれいに折り目つけぱふりとひらく四角の正しさ
たどたどしい英作文のように、訳:あなたが好きですずっと前から
そうやって虜にするの新しいピアスに気づくあなたの指先
言えないよきみの背中が遠ざかる春時雨ふる三月の嘘
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ふるさとの畦道ゆけばそよ風にあの子の茶色いしっぽが揺れる
六歳の娘のあはきをとめごころスカートの裾にレースを縫ひて
どろどろと底なしの沼に蓮の骨こどもの嘘さえ赦せない夜
すこやかにひとつ歳を重ねること ただそれだけのことにありがとう
寝かしつけおわり栞をはさんだ本そっとめくればごほうびタイム
不確かでまばゆき閉じられた楽園モラトリアムの狭間でキスを
許せないことを見ないふりどうしても身崩れしちゃう鱈のムニエル
にじいろの世界がひらける しゃぼん玉のゆくえを仰ぐ吾子の瞳に
悪意ある視線はこころを貫いて治りきらない傷痕が哭く
かえりたい場所は金魚鉢のかたち ゆうらり揺らめくアイデンティティー
ととのえた爪は武装だ 華やかに毒をひそめて雌伏している
散りゆくをうちながめては春花のうつろはぬ心たのめてしがな
とまらないとめられない喜びを歌う 青きを踏んで飛び立てば、昊
夏終わる
もうすぐきみがいなくなる
うっすり光るゆうがおの花
「ゐ」のかたち
「る」より「ぬ」に近いと知る
好きな短歌を書きうつす夜
※2024年から、毎日お題で詠んだ歌もいっしょにまとめています。
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