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短歌二十一首 【2024年3月まとめ】


【3月自選五首】


ひるがえる白のカプリーヌ、花の陰翳かげ、反時計回りのデジャ・ヴュー

靴ずれがなおらないままヒール履き歩調が乖離してゆく春寒はるさむ

それいゆつておいしさうねといふひとの瞳のなかに咲いてゐる花

春の闇ものやはらかくひろがりて白く妖しく梅の香ぞする

まどひきて今もまどへり雪の果て月が満つれば若芽生ひそむ



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特別なログインボーナスとして夜ふたりでケーキをたべる閏日

可及的すみやかにこのレポートを仕上げるためのデートをしよう

たのしみがオーバーヒートしちゃうから明日のおでかけはないしょなのです

ガーリックシュリンプの後味のこる雨もよいの午後はかどる仕事

加齢臭ごと愛してるという境地にはまだ至らずファブリーズする

いつまでも爪を噛む癖なおらずに発育不良なこころのままで

しちならべハートの4を持っているだいすきがもう隠しきれない

燃えさかるブーゲンビリアを胸に抱きラ・テンペスタ解き放つ空

みどりごは母の腕のなかで眠るゆだねられたるいのちの重み

別れぎわきみをなみだにとじこめて春のひかりはうららかに射す

初デエトは湖底の遺蹟を巡りませう(小雨ノ場合ハ決行シマス)

初恋のためいきはうすくれなゐの秋の実をそつと色づかせり

冬ごとに逢ひたき想ひつのらせてベイビーブルーの吐息を花束に

水蜜桃あまきひびきのくだものが夢にたゆたふシロップのうみ

冬こもり春浅き日の風きよみ雪に見まがふ花ぞさぐりつる

運命はきみぢやないんだ、さう云つてトルマリンは淋しく微笑わらつた

   


※2024年から、毎日お題で詠んだ歌もいっしょにまとめています。


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