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面白さへのアプローチ Fun×Interest

はじめに

ボードゲームサロンで「面白さ」について話題があがったので、完全な主観であるが、個人的な所感と考察を備忘録に残そうと思う。まず、この話題はスタジオしまづを運営するしまづさんから共有いただいた記事からはじまっている。

この記事で語られていたのは、「バランスブレイカー」と「変な要素」である。バランスブレイカーとして挙げられていたのは「破壊」と「偶然」であると解釈したが、変な要素とは何なのかという疑問が生じた。この疑問を解明するため、さまざまな視点から面白さを考察してみることにした。

面白さへのアプローチ

面白さのアプローチ

ボドゲサロンの講師でもある明地宙さんが語られた面白さについて、英語で例えられており、素晴らしいアプローチであると感じたので、英語から「面白い」と解釈できそうなものを基準に置くことにした。

表題にあるとおり、面白さは2つの軸「Fun」「Interest」と、3つのレイヤーで構成されているのではないかと考察する。

  • Fun(ファン):本能に働きかける(愉快・根源的)

  • Interest(インタレスト):知的好奇心に働きかける(興味・論理的)

  • Excite(エキサイト):感情を高ぶらせる

  • Fascinate(ファスシネイト):引き付け魅せる

  • Funny(ファニー):違和感から生じる

主要7要素と組み合わせる4要素

主要7要素と副4要素

Jey.P 氏(元ゲーム開発者)はゲームジャンルを 7 つの面白みの組み合わせで表現している。実ゲームを分析したケーススタディも非常に参考になった。

  • アクションの面白み:動きそのものを楽しむ

  • 技術の面白み:早く正確に実行する

  • 意思決定の面白み:未知の状況に対応する

  • 研究の面白み:真理を明らかにする

  • 成長と達成の面白み:報酬を求めて行動する

  • 探検の面白み:未知を既知にする

  • 物語と模倣の面白み:架空の世界に入る


パーソナリティ特性

パーソナリティ特性

パーソナリティ特性の主要5因子である性格特性には5つの因子があると捉えている。

  • 開放性(Johnny)

  • 誠実性(Spike)

  • 外向性(Timmy)

  • 協調性

  • 神経質傾向

Quantic Foundry での調査結果と照らし合わせると、「開放性」「誠実性」「外向性」と相関している。また、Magic: The Gatheringの開発元であるWizards of the Coastではプレイヤの心理特性を分類しており、性格特性と概ね重なっているようだ。


遊びの定義(ロジェ・カイヨワ)

遊びと人間

ロジェ・カイヨワは、遊びを4つの要素に分類している。どの遊びも、このいずれか、あるいは複数にあてはまるとした。

  • 競争(アゴン)

  • 偶然(アレア)

  • 模擬(ミミクリ)

  • 眩暈(イリンクス)

1. 競争(アゴン) 競争を伴う遊び

  •  勝利という価値を得るために、相手と競い合って遊ぶこと

  • サッカーやチェスなど、ほとんどの遊びはこれに属する

  • 自分の練習、努力を頼りにする、その結果が反映される

2. 偶然(アレア) 運や賭けを伴う遊び

  • じゃんけん、ルーレット、すごろくなど、賭けて遊ぶこと

  • 自分の努力とは無関係、運命に身を委ねるしかない

  • 偶然は、人間だけの遊びで、動物にはないもの

3. 模擬(ミミクリ) 真似・模倣を伴う遊び

  • ごっこ、空想、仮想、演劇など何かを演じて遊ぶこと

  • 俳優やタレント、飛行機や機関車のまねをする

  • 架空の人物となり、それにふさわしい行動をする

4. 眩暈(イリンクス)

  • 混乱を楽しむこと

  • すべり台、ブランコ、ジェットコースター、スキー

  • ぐるぐる回ったり、急速な回転落下など、一時的な知覚の安定を破壊する

MDA フレームワーク

MDA フレームワークは、ルールにより、プレイヤーへの相互作用が生まれ、感情が想起されるという流れがあるとして、それを分析する手法。

主体性構造モデル

井戸 里志氏(ゲームデザイナー)は MDA フレームワークで挙げられた面白みを網羅的にする手法を提案する。主体的楽しさを生み出す構造に着目し、面白さを分類した。

笑いとユーモアからの分析

笑いとユーモア

笑いの仕組みとして挙げられていた理論に「緊張と緩和」、「エラー発見の報酬」がある。これも面白さに繋がると考えられるので調査した。

枝雀が提唱する「緊張と緩和」は、展開の裏切りと同義であった。また「エラー発見の報酬」については、エラーを発見する「間違い探し」など代表される面白さに通じるように感じられた。

まとめ

様々な解説を拝読させていただいたが、非常に考えさせられる内容が多くあり、もっとマイナーな面白さや未知な面白さがあることは想像に難くない。

今回生じた疑問である「変な要素」は、展開(緊張と緩和)、齟齬(認知と解消)ではないかと考察する。調査する過程で整理した構成要素は、やや強引に位置づけたものなので、認識が違うこともあるかもしれないが、所感ということでご勘弁を。

ボドゲ制作サロン

今回の考察から始めった話題の提供元は、スタジオしまづが運営するボドゲ制作サロンである。興味を持たれた方は参加してみてはいかがだろうか。


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