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【特別企画】高専卒業生の声【No.1】

2024/03/22 更新版
概要
『応用物理学コース』は、日本でも珍しい物理に基づく異分野連携に力を込めているコースです。 物理を使って最先端の技術を学びたい!けど他の知識はまだ全然、、、と悩んでいる学生様でも、編入学試験から大学院入試(推薦/一般)など様々な入試形態でサポートしています。
今回は岐阜高専出身で、大阪大学 応用自然科学科 応用物理学科目に『編入学』し、大学院に進学、表面ナノ物性を研究する戸市裕一朗さん(博士後期課程1年生*注1)にインタビューしました。

*注1)
大学は、学部生として4年間を過ごし(学士)、大学院入試を経て博士前期課程を2年間過ごします(修士)。さらに博士後期課程は3年間を通して博士号(研究者としてのドライバーライセンスのようなもの)の取得を目指します。もちろん、学士、修士、博士、それぞれの称号を取得するタイミングで企業に就職する道もあります。

Q1.高専から大学に編入学したい、その時のきっかけは?

戸市:
高専のときに所属していた研究室の指導教員の先生との面談で『阪大応物』をお薦めされたのがきっかけです。私は、高専の本科では制御工学を専攻していました。勉強を進めるにつれて子供の頃から持っていた物理学への興味が次第に強くなり、将来は物理の研究をしたいと考えていました。

インタビューアー:
子供の頃から物理学へ興味を持っていたなんてすごいですね。

戸市:
いえいえ、ですが、物理学の中にもさまざまな分野が存在し、自分がどの分野に向いているかわかりませんでした。。。。。そんな中、物理を広く深く学べる大学を探していたところ、阪大応物に辿り着きました。

インタビューアー:
阪大応物は応用の物理と書かれている通り、色々な物理を学べそうですよね。

戸市:
はい、実際、阪大応物で調べてみると、物理をベースとした幅広い分野の研究室があることが分かりました。3年次編入学後は、4年生の時に情報科学研究科(情報数理学専攻)と工学研究科(応用物理学コース)の研究室のどちらかに行くことを選べます。
「応用物理学」の既存の物理学に満足せず新しい物理を開拓するという精神が自分に合っていると思い、阪大応物入りたいという気持ちが強くなりました。


ロボット工学に打ち込む、高専時代の戸市さん。所属していた研究室の先生と共に。


研究室で独自に開発している光電子分光装置の前で

Q2.編入学をチャレンジしてみよう、そう思った時何が大変でしたか?

戸市:
高専での授業をこなしながら編入学試験の対策をするのが大変でした。多くの高専生は4年生ぐらいから編入学試験を意識し始めると思いますが、専門的な講義に加え多数のレポート課題に追われながら試験対策しなければならないので。。。。
あと、編入学の募集要項のページが見つけるのが大変でした。。。

インタビューアー:
工学部のホームページから探せますが、確かに見つけづらい。。。。(リンクは“こちら”から)
入試はどうでした?

戸市:
阪大応物の編入学試験では、英語(筆記試験のみ)、数学、物理or化学があり、物理は高校物理の延長のように感じましたが、数学は大学1−2年生相当のもので少し難しめではありました。
英語はTOEICのスコアを提出する必要があったので、何度か試験を受けて点数を上げていきました。
面接も結構緊張しました、、、、

インタビューアー:
試験問題は、問い合わせ頂ければ、過去問様のものを郵送(郵送代は学生負担)できるので、志望者は問い合わせてみると良いかもですね。
学部HPのお問い合わせ欄から見ることができます。

ビームラインや研究室の実験設備でデータ取得したら、コーヒーを飲みながらデスクで解析します

Q3:実際に阪大に入ってみて、何が魅力的でしたか?もし大変だった経験などもあれば教えてください。

戸市:
のびのびとしたキャンパスライフが送れることですね。阪大応物がある吹田キャンパスは万博記念公園に隣接していて適度な自然が感じられますし、大都会に比べて静かで落ち着いた環境なのが良いです。それに電車やモノレールの駅が近くにあるので交通アクセスの良さも魅力だと思います。

インタビューアー:
確かに、土日大学構内を散歩すると気持ちいいですよね。他には何かありました?

戸市:
編入学時にかなり単位認定してもらったのですが、それでも多くの単位を修得しなければならなかったのが大変でした。それに私の代の時には、他の編入学者が応用物理学科目にはおらず、友達ができるか心配でした。ですが、学部3年生の時には数学、物理学の講義のほかに、演習問題を解く講義や学生実験が始まります。出席番号順に班分けされるので、そこで友達と仲良くなるチャンスだと思います。

Q4:大学院で就職するというキャリアもあったと思いますが、博士課程に進まれた理由はなんでしょうか?

戸市:
編入学時は博士課程に進学することは考えていませんでした。でも、学部4年生のときに今の指導教員である坂本先生と知り合い、低次元物性の面白さを学びました。
また将来的には研究職に就きたいという思いがあり、企業であってもアカデミアであっても研究者としてやっていくには博士号を持っていたほうがいいという周囲の助言もあり、修士課程進学時点で博士課程まで進学することを決めました。せっかく博士課程に進むのならいろんな経験をしたいと思い、博士課程教育リーディングプログラムの1つである「インタラクティブ物質科学・カデットプログラム」にも参加しました(注2)。

注2)阪大で博士課程の教育を支援するプログラム(博士課程リーディングプログラム:http://www.msc.osaka-u.ac.jp)という制度があり、返還不要の奨学金とさまざまな研究室を回れるプログラムのこと。
先輩と共に実験に取り組む戸市さん

Q5:応物コースでも高専生が編入学や大学院からくる学生さんが増えてきていると思います。もし後輩たちに何かメッセージがあれば、教えてください。

戸市:
募集定員が少ないので編入学するという選択肢は、確かに勇気のいるものでしたが、阪大応物で知り合った同期、そして今の指導教員の先生に支えられ、今の自分があると思います。
また、高専で学んだこと(プログラミングや機器設計など)がどこか研究で活かせるかなぁと思っていましたが、実際今やっている研究でもよく使います。
最初の一歩は大変かもしれませんが、ぜひチャレンジしてみてください。

指導教官(坂本 一之先生)とビームラインサイエンティスト(真ん中、CNR-IOMの藤井さん)と共に。世界最高峰の放射光施設であるElettra(イタリア)で実験した時の思い出の写真。放射光施設の詳細:https://www.elettra.eu

ありがとうございました。
高専出身の方で大阪大学の教員となる先生方、そして高専へと戻られる先生方もどんどん増えてきています。
戸市君のように、研究者になりたい!編入学も怖いけどやってみる!という気概に溢れる学生さんと会えるのを楽しみにしています。

2024年3月22日 広報担当の追記
-2023 年 八大学工学系連合会 「博士フォーラム」の企画・運営-で研究科長表彰を受賞されました。
こういった活動的な学生様は素晴らしいですね、おめでとうございます。


【参考情報】
大学に入った後も、奨学金や修士・博士課程の修学を支援するプログラムなどたくさんあります。
「めっちゃサポート」という面白いホームページが工学部に設けていますので、ぜひご覧くださいませ。
パッと阪大応物のことを知るには?
・高専・他大学の学生の皆様へ
奨学金などのサポート制度は?
めっちゃ!阪大工学部 高校生・受験生向けサイト
めっちゃサポート
学部や大学院ではどんな研究をしているのか?
大阪大学 工学部 応用自然学科 応用物理学科目 特別サイト
大阪大学 大学院 工学研究科 物理学系専攻 応用物理学コース 特別サイト