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私が『バリスタ』になったはなし

20代後半の頃、東京の日本橋でコーヒーのキッチンカーをやっていました。

求職中だったお正月。実家でなんとなく見ていたテレビで、そのキッチンカーの特集がやっていました。なんかいいなあ~って思ったのです。それで、その「なんかいいなあ~」の感想をその会社にメールしました。それが始まりでした。

そうしたら、社長から「面接に来ませんか?」と返信が来たのです。
面接からトントン拍子に決まり、みっちり研修を受け、数か月後には日本銀行と三井住友本店と日本橋三越に囲まれ、一人でコーヒーを入れていました。

朝、出勤前のエリート銀行員が次々にやってきます。
みなさんの「いつもの」をなるべく覚えて、淹れている間はちょっとトーク。そして、手渡して、いってらっしゃい!をする毎日。

みんなが出勤を終えると、お偉いさんの運転手のおじちゃんたちや、当時建設中だったマンダリンオリエンタルの工事の人たちがやってくる。
佐川のお兄さんや、郵便局の人たち、三越のお姉さま方も。
そのあとは、あっという間にお昼がきて、またランチのラッシュ。

午後は、仕事場を抜け出してくる人たちと、ゆるゆるしている間に夕方の閉店が来るという一日でした。

これをきっかけに、退職後も業務用エスプレッソマシンを購入して、色々なところで淹れ続けています。

photo by Akiko Komatsu

「バリスタ」は、エスプレッソを入れるひとのこと。特別資格はありませんが、はんぶんこのバリスタとして、これからもコーヒーをいれていきます。

キッチンカー時代の忘れられないエピソードがたくさんあります。
色々なお客様が来ました。またそんな話もしたいと思います。気がむけば。


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