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したためる想い、手紙

小学生の頃、会ったことのない同い年の女の子と文通をしていた。

「ハンゲーム」「チョコットランド」
この単語にピンとくる方はいるだろうか?
パソコンでできるオンラインRPGゲームなのだが、小学4〜6年生の頃にこれにとてもハマっていた。

そこで出会った同い年の女の子、ハンドルネームは「ゆずこ」。
当時千葉県に住んでいた彼女と仲良くなり、私たちは住所を教えあって文通を始めた。

内容は、学校のことや友達のこと、勉強のこと。行きたい高校や将来の夢のこと。
1〜2週間に一度届く彼女からの手紙が楽しみで、学校から帰るとすぐにポストをのぞいていた。

会ったことのない私たちは手紙のやり取りでたくさんの話をし、それは大いに盛り上がった。
多い時には便箋10枚以上になる手紙を、私たちは送り合った。

ゆずことの最後の手紙はいつだったかは覚えていない。
彼女の進学した高校名の記憶があるため、お互いが高校に入学するあたりまで続いたのだと思う。
結局彼女には会うことはないまま大人になったのだが、彼女との手紙のやりとりは、私の幸せな記憶のひとつであり続けている。


いま思うと、私は当時から文章に心を乗せて届けることに魅入られていたように感じる。
便箋にしたためた言葉を封筒に入れて、投函する。
行ったことのない土地へ、会ったことのない友人に自分の書いた手紙が届く。
それだけで、当時の私は心躍る気持ちだった。

その気持ちの延長で、noteで文章を発信しているような気もする。


今でも私は、本当に伝えたい想いは手紙に込める。
相手のことを想って選んだ便箋と封筒に、慎重に選んだ言葉をしたためて封をする。

気持ちをストレートに書いてみたり、あえて行間を読む余白を作ったり。
届ける相手の心にどう届くかを考えて、手紙を書く時間が私は好きだ。


最近は、LINEやSNSのメッセージでのやり取りが主流になった。
アプリ上で会話をするように言葉のやり取りができる。
とても便利だし、それも楽しい。

だけど、本当に大事な想いは文章に込めたい。
1つ1つ時間をかけて選んだ単語を繋げた文章を届けたいと思える人、受け取ってくれる人は、間違いなく私の大切な人だろうから。

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