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キッチンに立つ

子どもが寝静まった後の夜のキッチン。

食パンの耳を落としてマヨネーズを薄く塗る。
好きな具材を重ねる。なんでもいい。
なんでもいいけど、心踊るものを。

今夜はサニーレタスに、蒸籠で蒸した鶏胸肉に、和風にんじんラペ。
鶏むねの上にはオリーブオイルとハーブソルトをかけると食べた時に香りが広がる。
スライスチーズものっけちゃう。
この辺からもはや無心。

またマヨネーズを薄く塗った食パン重ねて、ラップで包む。
マスタードあればよかったな。

もう1つは、シンプルに目玉焼きとレタスとスライスチーズ。
チーズが大好きなことがバレる。
目玉焼きの上にもオリーブオイルとハーブソルト。これ優秀。

ラップで包まれた2つのサンドイッチ。
真ん中に包丁を入れて、半分に。

いい感じに仕上がった断面に、思わずにんまり。

これは、明日の親子遠足のお弁当。


私が一番ボロボロだったとき、
姉は私に一冊の課題図書を与え、1人で好きなところに行って読んできなさいと言った。

そのときの課題図書は、くどうれいんの「わたしを空腹にしないほうがいい」。

料理を嫌おうとしていた私の心を、美味しいものなんてもう食べたくないと思った心を、その本が繋ぎ止めた。

だから、今日も私はキッチンに立てる。
美味しいものを探して歩ける。
自分を幸せにする1つのツールを、手放さずに済んだのはあの本のおかげ。


夜のキッチンは、その気持ちをことさら強く思い出させる。


なんだか頭のなかがとっ散らかっている。
明日のサンドイッチを楽しみに寝る。
早く起きられたらとびきり美味しいコーヒーを水筒に淹れよう。

自分で作った美味しいものに囲まれる自分は、どうしたって最強だからな。

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