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詰まるところのそれが青春

高3の頃のクラスラインが動いた。
一体いつぶりだろう。
どうやら成人式ぶりの同窓会をするらしい。

同窓会の話はひとまず置いといて、久しぶりに動いたグループラインに私は興味を掻き立てられた。

何より気になったのが、グループのアルバム。
体育祭やら文化祭やら卒業式やらの写真がたくさんある。
すばらしいクラウド機能である。

少しドキドキしながら、開いてみた。
古い校舎で、クラスメイトと過ごす、青春を切り取ったみたいな写真がならんでいた。


高校のクラスの記憶って、実はあんまりない。
わたし自身、交友関係はあまり広くなくて、目立たないタイプだったとは思う。

目立たないタイプだったんだけど、写真を見返したところ、なぜか高3の1年間で、私は2回仮装をしているようだ。


1回目は体育祭。
運動部ってだけでリレーの選抜メンバーに選ばれてしまった。マネージャーなのに。
高校生あるあるなのかもしれないけど、なぜかリレーで仮装をしたがる高校3年生。
我が3年4組の仮装テーマは「アバター」。
アバターって、あのアバター。青い半魚人のあれ。
青いTシャツに青い短パンはいて、顔やら腕やら足やらをすべて青の絵の具でぬって仮装終了。雑すぎる。
雑な仮装で引きつり笑いをしている私の写真が残っていた。

無事リレーを終えた放課後、水道の石鹸を真っ青にして全身の色を落とし、グラウンドに走ったら監督から「マネージャー、顔色悪いぞ!」とどやされたっけ。
青が落ち切っていなかったんだなあ。


2回目は文化祭。
経緯は忘れたが仮装大会のメンバーになっていた。
私の仮装は「ドナルド」。
ディズニーの可愛い方じゃない。
ドナルド・マクドナルドのほう。赤いアフロのピエロ顔のおじさん。
私だけじゃないよ。
手作りの衣装と赤いカツラ、どぎついフェイスペイントのドナルドが6人くらいならんで、全校生徒の前で「ごめんなさいのKissing You」を踊って、町を練り歩いたんだ。

そのときは私は原因不明の高熱が続いていて、解熱剤を飲みながら文化祭に参加していた。
3キロくらいの仮装行列を歩いたらふらふらで、学校に戻ってすぐに水道の石鹸を白や赤や黒が混ざった灰色にしてフェイスペイントを落として、その足で病院に行って点滴をうけた。
病院の先生から「顔色ひどいね!?」って心配された。
白塗りが落ち切っていなかったんだ。


まったく、なにやってたんだか。
小さな教室で、そこがすべてみたいな気になって。
体育祭も文化祭も優勝して、変な団結力とか生まれちゃって。

本当に楽しかったかと聞かれると自信はない。
だけど、写真のなかの私は楽しそうに笑っている。
卒業してから、当時のクラスメイトとはほとんど交友はないっていうのに。

なんだか羨ましい。
否応なしに同じ教室に集められたってだけで仲間意識が芽生えて、大人になったらやらないようなこと全力でやって、毎日30人のクラスのなかの1人として過ごせばよくて、目の前にはただただやることがあって。
努力次第で達成できる目標ばっかりあって。

お互いの顔塗って笑ってさ。
優勝したらステージ上で盛り上がってさぁ。
そんな写真がいっぱい残ってんの。
そのなかで私笑ってんの。

詰まるところ、それが青春だったってことだろうな。


同窓会は、多分いかないよ。

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