私はなぜ写真を撮り続けるのか?(無料記事:期間限定)
もう写真を撮ることが当たり前の日常となって数十年になります。
写真を撮るということなしに人生を振り返ることが難しいほどです。
いつのまにか写真を撮るということが特別なことではなくなって、
どんなときでもカメラを持ち歩いています。
でも、ふと考えてみるとなぜ私は写真を撮り続けるのでしょう。
自問自答です。
依頼を受けて写真を撮るのがプロカメラマン
いわゆるプロカメラマンという職業は、依頼を受けて写真を撮るのがお仕事です。
依頼があれば写真を撮る。
依頼がなければ写真は撮らない。(ゼロではないかもしれないけど)
まあ、職業カメラマンとしてはある意味当然の動作です。
私もずっと以前はそういうお仕事がメインでした。
出版社やタレント事務所、政治家さんなどから撮影の依頼を受けて、
その依頼に応じた写真を撮る。
もちろん、依頼されたとき以外も写真を撮ることはしていましたが、これは余暇というか趣味という感じでした。
ですから、「なぜ写真を撮るのか?」と聞かれれば、
「それが仕事でお金を得ているから」と明確に答えられました。
ただ、この依頼仕事というものの比率が下がり、自分自身の思考と好みで写真を撮る「写真家」という人種(?)になってからは、直接的な意味では、「写真を撮る=お金を得る」ではなくなったような気がします。
依頼されてなくても撮るということ
自分自身で写真を撮る。
被写体も写真の仕上がりも自分で考え、自分の好みで撮る。
そして、撮った写真がいずれどこかで使われたり、写真を買っていただいたり、写真集にしたり、とすることで初めてお金を生むことになるわけです。
そうなると、必ずしも「写真を撮る=お金を得る」ではなく、「撮り続けることでいずれお金になるかもしれない(ならないかもしれない)」ということになります。
または、写真を撮り続けて、それはいろいろな形で発表すること、その姿を見せ続けることでお金が生まれることもあります。
写真だけではなく、もしかするとその生き様自体がお金に替わるのかもしれません。
そういう意味では、写真を日々撮り続けることが、やはり職業となるのかもしれません。
ただし、相当に手間と時間を掛けて、それがお金に替わる割合はかなり低いという気がします。
マグロ漁の漁師みたいな感じ?
なんとなくですが、マグロ漁の漁師のような感じでしょうか。
毎日、毎日、船を出してマグロを釣りに行くけど、一匹も釣れない日がほとんど。
でも、いずれマグロが釣れて、それまでの漁にかけた時間も手間も報われる日が来る。
写真家ってそんな職業なのかもしれません。
でも、毎日のように何かしらの写真を撮り続けるわけです。
クルマで近場に撮影に出掛けたり、時には泊まりがけで何か撮りたいものを見つける旅にでたり。
ポートレイトだって、予定を決めてしっかり撮るときもあれば、お散歩がてらなんていう撮影もあり。
とにかくある意味、雑食性で何でも撮るわけです。
記憶の収集癖なのかも
で、どうして毎日、なんでも撮るのか?といえば、
おそらくですが、「記憶の収集癖」なのかもしれません。
どんな人でも毎日、いろいろなものを見ます。
私もいろいろなものを見ます。
それは頭の中に記憶として残るのですが、でも意外と日々見たものは忘れていっちゃうものです。
ハワイに行ったときの記憶はいつまでも頭に残っていても、
近所のスーパーに行くだけで終わってしまった一日はいつのまにか思い出せなくなってしまいます。
この思い出せなくなってしまうことがなんとなくもったいない気がして、ついつい写真を撮ってしまうのかもしれません。
思い出せなくなるのがイヤなのかも
人生の貴重な一日、ひとときが、いつのまにか記憶から忘れ去られてしまう。
これがイヤなのかもしれません。
だから、全部思い出せるように撮っておきたい。
こんな場面を見た。
こんな人にあって、こんな話をした。
ほんのちょっとしたことだけど何かを感じたこと。
以前から「写真は記憶のしおり」と言ってきていますが、まさにそういうことです。
頭の中には全部覚えておくことができなくても、写真として残しておけば、それを見返すことでその前後のことも明確に思い出せる。
そのために写真を撮りつづけているような気がします。
もっといえば、自分の人生をより多くのドラマチックな日常として残しておきたいと思うのです。
ドラマチックな日常として記憶するために、どうせ撮るならカッコ良く、綺麗に、素敵な写真にしたいと思うのです。
その方が、同じ人生でもなんだかカッコいい気がするでしょw
ということで、なぜ写真を撮り続けるのかという自問自答の答え。
自分の人生を忘れてしまわないため。
毎日が充実しているのだと思いたいため。
記憶の収集癖。
まあ、そんなところなのかもしれません。
さて、あなたは何のために写真を撮るのですか?
ちょっと考えてみても面白いかもしれませんよ。
ではまた。
塙真一
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