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写真を厳選して、あえて複数見せない勇気も必要です!

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良い写真が撮れるとついつい人に見せたくなってしまいます。
今で言えば、SNSにアップするというところでしょうか。
でも、写真を出す上で注意すべきことがあります。
それは何かといえば、同じような写真を何枚も出さないことです。
SNSなどでは一度に数枚の写真をアップすることもできます。
そこで1枚だけでなく、複数の写真をアップしようと思うのでしょうが、どの写真も同じように見える写真は出さない方が良いのです。

その理由についてお伝えしましょう。

同じ時間、同じ場所、同じ被写体の写真であれば、本来、ベストショットは1枚のはずです。それ以外は、アザーカットといって、まあ補欠みたいなものです。
風景でもスナップでもポートレイトでも、類似カットを複数出してしまうと、「この人はどの写真が良いと思ってるのかな?」と思われてしまいます。
中には、間違え探し?と思うような類似カットを何枚も並べる人もいますが、できればその中のベストショットを選んで見せるようにしたほうがいいでしょう。

写真をチョイスする力というもの、写真の上手い下手に関わることだと思うのです。写真の見せ方を研究すること、見せる写真をちゃんと厳選することも写真上達への道だと思います。

少し具体的な例にしましょうか。
風景写真なら同じ被写体は1枚のみ。同じ場所でも森を撮った写真と、足元に生えていたキノコの写真というのなら、それぞれ1枚ずつでもいいでしょう。これを、森全体を写した写真で1枚、少し木々の入り具合を変えた森で1枚、さらに森の一部を縦位置で1枚とかになると、「どの森写真が一押しなのだろう?」と思ってしまいます。

スナップ写真なら、路地が変わったり、路地を写した写真とショーウインドウの写真、道ばたのガードレールなど違ったバリエーションは作りやすいのでそれほど苦労することはないでしょう。さすがに同じガードレール写真を3枚も4枚も出す人は少ないでしょうし。

意外に同じような写真を何枚も載せてしまいがちなのがポートレイトでしょう。
確かに、ポートレイトでは1枚ごとにモデルさんの表情も違いますし、手や顔の向きなどの微妙に変わったりします。
そのどれもが撮った本人からすると、「どれも可愛い。どれも良い表情で選べない」となるのかもしれません。その気持ちも分からないではないです。

でも、この微妙な違いを全部見せてしまうと、まさに先に書いた間違い探しのようになってしまうものです。
1回の撮影で衣装も変わらないのであれば、せめて背景や雰囲気の違う写真で構成するようにしたいところです。街っぽい背景で1枚、花などを絡めて1枚、座り姿で1枚、というように、同じモデルさんでも雰囲気や背景の色味、縦横の構図違いや全身、アップくらいのバリエーションを持たせてあげたいですね。

例外があるとすれば、同じような写真をアップした上で、「どの写真が一番よいと思いますか?」というアンケートを採ったりする場合です。このような場合は、同じような写真が並んでいても特に違和感を感じることはないでしょう。

写真をアップして人に見せるということは、良くも悪くも観た人は感想を持ちます。感想が書き込まれるかどうかは別としても、必ず感想を持つものです。そのときに、類似写真のようなものが何枚も並んでいると、この人は同じ写真を何枚も見せてどうしたいんだろう?と思われてしまいます。

その結果、写真の価値が下がってしまうのです。
例えば、厳選した1枚を見せたときに、100人の人が「良い写真だなあ」と思ったとします。これが、類似カットを4枚並べてしまうことで、4枚すべてを見た上で「良い」と思う人は100人を下回ってしまうと思います。
理由は、自信のある1枚がどれだか分からなくなる上、あまり良くないと思った写真が減点の対象になってしまう可能性があるからです。
そして、さらに類似する写真を何枚も見せられると、結局、1枚ずつの印象が薄くなってしまうのです。印象が薄くなると言うことは写真の価値が下がってしまったということですよね。

では、実際の写真で一例をお見せしましょう。
次の4枚の写真を見た後に、その先の文章を読み進めてみてください。

湖の氷その1
湖の氷その2
湖の氷その3
湖の氷その4



上の4枚の写真はどれも同じ湖で同じ日、同じ時間帯に撮った写真です。
まったく同じアングル、フレーミングの写真ではありませんし、写している氷も全部が同じものではありません(重複した氷もありますが)。
私としてはこの氷で素敵な写真を撮りたいと思って、いろいろな氷を見つけ、いろいろなアングルで撮りました。このときの写真はもっともっと何十枚もアザーカットがあります。

でも、どれも似たような写真だなあという印象を受けませでしたか?
今、この文章を読んでいる瞬間に4枚の写真を見返さずに思い出してみてください。どの写真が一番、印象に残っていますか?
おそらくですが、どれか1枚だけ特に印象に残っているというものはないのではないでしょうか?
そして、「結局、ハナワはどの写真が一番いいと思ってるわけ?」って思いませんか?

では、写真1枚だけだったらどうでしょう?
以下の写真、1枚だけを見せたら。。。

湖に打ち寄せる氷たち!
寒い冬だけに見られる景色です。
自然が作る氷の重なりは一カ所として同じものはありません。

そういうことなのです。
類似写真を並べて出さない方がいい理由、厳選した1枚を見せる方がよい理由がなんとなくお分かりいただけたのではと思います。

今回の実例は風景っぽい写真でしたが、スナップでもポートレイトでも同じです。アザーカットをいっぱい並べることにメリットはないのです。

ここでの話は、あくまでも類似カットという話です。
テイストとして似ているということではありません。
違う場所、違う被写体、違う雰囲気の写真がどれも似たようなテイストであることは気にする必要はないでしょう。
それは類似ではなく、その人の作風と捉えられるからです。
これはむしろ好感が持てる見せ方のパターンと言えるでしょう。

作風については、また別の機会にお話ししたいと思います。

まずは、一つのシーンで良く撮れた写真が何枚もある場合、その中のどれか1枚ベストショットを選び抜いて、その1枚だけを見せる。
これだけで、その写真の価値がアップします。

厳選した写真だけを見せるようにしましょう。

塙真一

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