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舞い始めた明るさに もうそこに 見えそうな春 目が慣れない眩しさに 戸惑うばかりの心では 受け止めきれない時の流れ このまま冬に 埋もれていたい衝動は 遠ざかってしまう あなたの影のせい 季節の移ろい 心の移ろい 想いも移ろい去ってくれたら
微笑む陽射しが まどろみ誘う 休日の午後 こんな日は 行きどまりの あの場所まで散策に 会いに行くのは あなたの言葉 昔色に 染まり始めた懐かしさでも 明日の一歩の力をくれる もう声は聞こえないけれど 透き通った想いは変わらず 心の中のとっておきの場所
沁み込む涙の行先きは 仕舞ったはずの想い箱 音無く漂う切なさに 押さえる心は弱くなる 流れる時間に寄り添って 遠ざかっていく色合いに 少しの安堵と淋しさと 確かめてまた蓋をする 想い出は 時々覗くくらいがいい 住んでしまうには あまりに儚すぎるから
冬の西陽が頬を包む さえぎる雲間を見つけては 真っ直ぐ眩しい色が降る 陽光を 隠してみたり出してみたり 空の気まぐれ 優しさを 忘れたり思い出したり あなたの気まぐれ 振り回されても 空の上が 心の奥が 澄んでいるのを知っているから
瞬きほどの言葉が 落ちて響いて 狭間に消える 全てを含んだその痛み 長引かせないのは あなたのやさしさ 声に出してしまったら 思い出の色を変えてしまう 無言の会話のその後に 鏡に映ったドアが閉まった
柔らかい緊張が 締め付けるように暖かく 真新しい感情が 動き出した今に馴染んでいく 預かった心 預けた心 軽くなって重くなって 重くなって軽くなって 当たり前になる前に この重さの尊さを この軽さの安息を 特別な日に刻むまで 明日がやって来ませんように
奥底を揺さぶる はさみの音 はらはらと 聞こえない声を立てて 揺れ落ちる髪 心は宿らずも あなたの手の感情を 覚えている 経つ時間に 持ち去られていく断片が 心から流れていく 心から落ちていく
流れ込む色は 動揺のきざし 進む速さを 持て余し 忘れていた熱い戸惑いに出会う 一滴の露の甘味さえ 漂い広がるものを あなたの空気といえば むせるように 全てを染めてゆく 心を朗らかに流れ始めた感情に 少しの恐れとときめを見る はじまりの時
想いを文字にして 待機している明日のように 次々訪れる時間の中で 名残を惜しむことが出来るのは 変わらぬ文字の普遍だけ いつか離れる 視線より いつか薄まる 感動より いつか遠のく 声よりも あなたを文字で 私にください
ノックが鳴ってから 言葉が届く 安心という空間に浮かぶ たおやかな時間 あなたが ノックをするのは 言葉の柔さも鋭さも きっと知っているから とっても知っているから 私は何も聞かないけれど その怯えたような優しさに 精一杯 心の扉を開けよう 「どうぞ 心待ちにしていました。」
思いもよらない香りを纏って 届いた言葉 柔らかい棘の刺さった よそよそしさ 私が 思いもよらなかったから あなたに 言わせてしまった最後の言葉 一瞬で 氷が張り詰めたあの部屋で 私が最後に聞いたのは あなたの涙の落ちた音
心の渇きで目を覚ます 夢は夢でしかないことを 心は知っている 呼び覚ますきっかけの 彷徨う慕情も 心は知っている その中に何を秘めるか 限りに目を凝らし 浮き出るものに 今更ながら 泣き尽くす その想い 心は知っている