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2019年10月の記事一覧

ヨルシカの呪いと祈り

ヨルシカのことは前から知ってたけど、正直、最初に「おおっ!」と鳥肌が立ったのは「木箱」を手にとった時のことだった。 「木箱」というのは、今年4月にリリースされたヨルシカの1stフルアルバム『だから僕は音楽を辞めた』の初回盤のこと。パッケージの封を開けると、そこには何も書かれていない箱がある。フタを開けると、一番上には「エルマに」と書かれた紙が入っている。 で、その先には何枚もの手紙と写真が入っている。そのうちの1枚には、かすれかけた青いインクで、こう書かれている。 エル

こうして人は依存する(あるいは、依存先を分散させることについて)

友だちや仕事関係のひとたちと居酒屋で飲んでいるとき、スマホの画面を上向きにしたままテーブルに置くくせがある。ちょっと行儀は悪いけれどそんなに珍しいことでもないので、気にせずにスルーしてもらえることが多い(と思う)。 ただ、一度だけ、「シホさんってLINEの通知がくるとなんか怖い顔しますよね」と指摘されたことがあった。そのときは「気づかなかった、ごめんなさい」と謝ってスマホをしまったのだけれど、怖い顔をしているという自覚はなくても、そう言われた理由には正直心当たりがあった。

「聴くと、聞こえる」という現象をプロダクト化した話

耳を澄まして周りの音を聞く、という行為を日常的に行う人はそれほど多くないと思います。五感の中でも聴覚、耳という器官は基本的には24時間365日、開いている状態のため、あまり意識せずに「漠然と聞いている」時間がほとんどなのではないかと思います。 なにか特定の音を聞き取りたいとき、騒がしい場所で隣の人と話すとき、若い人であれ高齢の方であれ、僕らは耳に手をあてて耳の周りを覆う仕草をします。そうするとどうなるか、よくご存知のとおりだと思いますが、囲った手のひらが音を反響して集音され