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2018年12月の記事一覧

ほんとうに好きすぎると愛憎入り混じって崇拝どころではないファン心理

 中学の頃、好きだった先輩が椎名林檎をやたら褒めていた。「無罪モラトリアム」はすごい! 天才だ!  私はこっそりCDショップで無罪モラトリアムを買い求めた。先輩が褒めるものを聞いてみたかったからだ。  先輩は才能豊かで面白い人だった。ユーモラスでユニークだった。人を笑わせることが得意で、ときたまぎょっとするようなブラックユーモアを口にしたり、それに凍り付く周囲の空気すら、大きな体を揺らして鷹揚にジョークにしてしまう不思議な人だった。私はひそかに先輩が好きだった。  丸の内

自分で自分の幸せを潰す、こと

昨年の成人の日、渋谷区の成人式でスピーチをした。 あれから1年が経つ。 会場にいた若者達との対話が今でも鮮やかな記憶となって蘇り、時に私を鼓舞してくれる。 「ここにいるみなさん全員が生まれた時から与えられている、あるものがあります。さてそれは何でしょうか?」 若者たちにそう問いかけると、会場の中程に座っていた金髪の若者がさっと手をあげて自分の思いを語ってくれた。 一瞬身構えたが、その彼の答えに会場は拍手に包まれた。 彼は何を語ったのか。 あの日のスピ