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ココちゃんとトトとカカ#27 桜ご飯と夫婦喧嘩

《これはトトさんと、私カカさん。そしてココちゃん3歳の暮らしのお話》

桜が咲くと、「空から見たら日本がピンクのホワホワなんだろうね」という母。
そんなことはないって…と今なら思うけど、幼い頃は、本当にそうなのだと思っていた。

「年々、満開になるのが早くなっている気がしない?
この調子だとさ、入園式には桜がないんじゃないかと心配してたんだけど、
なんとかもつかな」
「入園式は今週?」
「うん、来週だったら無理だったかもね」
「だね、お花見も今週末ってとこだね」

私のお弁当から卵焼きをつまんで「今日も最高だ」とチカが笑う。

「チカさぁ、よく人のお弁当食べれるよね。私、人のお弁当って苦手でさ、
なんか、そこんちの匂いがする時あるじゃん?」

私は人のお弁当が苦手で、イツメンのおかず交換が本当に嫌だった。
(今はイツメンとは言わないのだろうな)

「え?考えたことないわ」
「それに、いつも卵焼き」
「あ、それは、トトさんの卵焼きが好きなだけ。でも、今日の卵焼きはいつもとちょっと違うね」
「ふっ・・・そんなことも分かるの?今日のは私が作ったの!」
「へぇ〜。甘くないなぁと思って。あ、美味しいよ。」
チカが私の頭を撫でた。

「で、お花見は行くの?」チカが聞く。
「入園式が午前中だから、そのあとにでも行こうかなと思っててさ。
まだトトさんの予定を聞いてなくて。でも、多分何もないと思うしさ」
「良いね〜。お花見っていうか、ピクニックだね」
「そういう感じ。ココちゃんとおにぎり作って行こっかな」
「ココちゃん喜びそうじゃん。トトさんが美味しいお弁当作ってくれそうだし」
「桜もだけど、そっちが楽しみってのもあるけどね」

うん、そうだな、そうしよう。今週末、お弁当持ってピクニックに行こう!
どこの公園にしようかな。リサーチしなきゃ♪
楽しみすぎて、トトさんにLINEをしようかと思ったけど
トーク画面の壁紙にしているココちゃんを見て、帰ってから話すことにした。

なーーーーんて、ワクワクしていたのに、
「言い忘れてたけど、明日有給取れたから、ココちゃんと2人で遊ぶわ」
って、ひどくない?
いや、いいよ。いいのよ。それはそれで。
私の計画は週末のことだし、だから、いいんだよ。
なんだけどさ。なんだろ。

つまーんなーーーい。
有給が取れるなら言ってくれたら、出勤変わらなかったのに。

トトさんに背中を向けて、寝る。イライラを背中から出す。
イライライラ イライライラ イライライラ

そして次の朝。イライラしていた割によく寝たかも。

「行ってきます」
「ココちゃん、トトさんと公園行くねん!」
「良いね〜ココちゃん。またお話聞かせてね」
「いってらっしゃい。ごめん、なんか・・・」
 ほら、モゴモゴする。
「いや、ココちゃん楽しませてあげて。よろしくー」
「うん分かってる。けど、なんか・・・」
「何?(「イライラしてるよね」って聞きたいんでしょ。もー。はっきり言いなよ)」
「いや、なんでもない。気をつけて」
「(言わないんかーい)いってきまーす。ココちゃん行ってくるね!」
「いってらっしゃーい」

ドアをバタンと閉める。
「あ!!!!」部屋から大きな声が聞こえてドアが開く。
「何?」
「待って!お弁当!」トトさんがキッチンから持ってきたのは
いつものお弁当ではなく紙袋だった。
「お弁当?」
「そ、お弁当。行ってらっしゃい」

「ありがと」
受け取った紙袋を握りしめ、駅に向かう。
膝にのせた紙袋から優しい香りがする。
紙袋の中にはさくらご飯のおにぎりが2つがそれぞれラップに包んであった。

ピコン!LINEはトトさんからだった。
「ごめん。週末は3人で食べような」

トトさん・・・。嬉しくて顔がほころぶ。
でも、照れくさいから「ドラマか!」と返事をする。
ありがと。大事に食べるね。


お花見は行きましたか?うちの最寄駅は桜の名所なんですよ。私は満開の時より、少し葉っぱの緑が見える頃が好きです。皆さんは?

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