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5/23 公共哲学②

文明的品性について訳について

翻訳にあたっては、civil という言葉に即して「市民性の哲学」という訳も考えたが、上述の説明からわかるようにcivility には「文明」という意味が強い。実際、ギリシア・ローマ以来の都市国家や市民だけをリップマンは念頭に置いているのではなく、中世のカトリックにおける自然法という意味が含まれている。civility には、野蛮に対する文明的・品位礼節という意味があり、彼は、野蛮に対するcivility の哲学という表現を用いている。これは「文明性の哲学」を指すことになる。

 他方でcivility には「礼節・品位・品格」という意味も含まれているが、「礼節」には行儀作法(アジア的)のイメージが強く、自由や権力制約という政治的な意味から距離がある。さらに最近、政治哲学でdignity(尊厳)を「品位」と訳すことがあるので、「品性」という訳語を選んだ。こうして本書では、上述の二つの時代的危機における意味、つまり第一の「品位・品性」という意味と、第二の「文明性」という意味を込めて、「文明的品性の哲学」と訳すことにした。

あとがきたちよみ『リップマン 公共哲学』

文明的に品性の高さ/低さがあることが示唆されているのでは?

リップマンの公共哲学と自然法の関係性について

古代ギリシア・ローマの自然法
=キリスト教の世界観のもの
 神が創造した世界の法
 自然法の伝統の中に権力などが入っている

リップマンは「自然法はローマから近代まで脈々と続いている」という捉え方
 ・アーネスト・バーカーの自然法の捉え方に依拠
リップマンの公共哲学の思想史的源流には古代ローマの自然法がある

(リップマンの思想史の捉え方)
・アクィナス:宗教的要素も含みながら理性で見い出す
・ルソー、ジャコバン主義→全体主義的

エリート主義的?

p.108
目に見えない自然法を見い出すことが重要であり、それこそが公共哲学
理性によって自然法を認識することが重要である
その公共哲学の担い手が、哲学者や教師

→卓越主義(パーフェクショニズム)があるのでは?
 ・倫理的なものが大事、切磋琢磨して磨いていくことが大事
 ・倫理的なものは政治にかかわるうえで必要
→でも、誰でも獲得できるものではない可能性が高いのでは?

ラディカルデモクラシーのように政治の質を求めないものとの衝突の可能性がある

思想史的に共和主義を主張する人
・倫理観を主張
・エリート主義(アリストクラティック)
 ・血縁による帰属を主張するわけではない
 ・血縁ではなく、教育が大事→哲学者・教師の役割への言及
・倫理的ヒエラルキーがある

超越性の理論:テイラーの話と繋がる?
リップマンのサルトル批判:サンデルのリベラリズム批判と似ている

リップマン『公共哲学』の位置づけ

公共哲学の原点であると同時に、コミュニタリアン的公共哲学の原点
・著作タイトルがそもそもコミュニタリアン的
・道徳性の重視
・善と共というキーワードがある
 ・善が全面的に出ている
アリストテレス的であり、プラトン的系譜に位置づけられる(シビリティを主張しつつ、超越的なものを主張)
保守主義、全体主義、ポピュリズムに対する対抗思想を明確に打ち出している

「ポジティブな教義」

ネガティブな原理に対して反論する ネガティブ防止
ポジティブ=権利擁護論とは違う 
品性の陶冶はポジティブなものであるというリップマンの意図を反映した
(あと書きにも書いてある)

先生の意図がバリバリ入ってるけどいいのかな?w

へ〜集

絶対的な権利の主張は、法と文明的品性の境界の埒外である。

p.110

絶対的な私的所有は不可避的に、耐えがたい害悪を産み出した。絶対的な所有者たちは、隣人たちと子孫たちに甚大な損害を与えた。所有者たちは土地の肥沃さを荒廃させ、地下の鉱物を破壊的に開発し、森林を焼き、そして切り払い、野生生物を殺し、河川を汚し、供給品を買い占めて独占を形成し、土地と資源を使用できなくし、取引能力の弱い賃金労働者たちを搾取した。

p.114

ロックが「自由(リバティ)」という言葉に与えた意味は、「人が何か特定の行動を行う力、または行うことを差し控える力である」である。ここでは、私たちは単にあることをしてよいから自由というわけではない。私たちはまたそうすることが可能でなければならない、すなわち、私たちはそれをなす能力と手段を持たなければならないのである。

p.138

ロックってそういう考えの人だったの!

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