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すいかのにおい

空気が主張してこない

今日の朝、私はいつも通り駅まで小走りで向かってました。
別に授業や約束に遅れそうなわけではないんだけど、「早く行った方が図書館に長くいられる」と思いながら。

5月20日。2週間くらい前のGW頃の方が全然暑かった。最近はもはや肌寒い。いやあるいは、空気からの主張が薄い。暑いんだか寒いんだかよく分からない。
私は「このくらいならこの服がちょうどいい」という判断が苦手。
「今日はっ、あっついよ~~~!!!」とか「きょうは…寒いよ………」とかハッキリ伝えてくれないこの時期は、毎朝何を着ていくか困る。
今日だって、さんざん迷ってヒートテックとパーカーを着てきた。

飛び込んできた「なつ」

そんな毎日だから、「季節が停滞してるんじゃないか」「自分の生活もこのままなんじゃないか」って頭でぐるぐる考えていた。駅に向かって足を動かしつつも、ぼんやりと頭にあった。


そしたら急に、すいかのにおいがした。



いかにも雨が降りそうな、停滞した灰色の空と町の中に、ものすごくはっきりとスイカの匂いがした。
あのみずみずしさ、真っ赤なざらざら、夢中で食べてたら噛んじゃって理不尽に邪魔された気分になった黒い種のこととかが、一気に蘇った。

あまりの衝撃にやや混乱しながらもなんとか駅にたどり着き、電車に乗った。
落ち着いて考えてみたら、香ってきたのは確かスーパーの前あたりだった。よく見れなかったけど、スイカが搬入されたタイミングだったのかもしれない。いやもしかしたら、きゅうりや、誰かの香水だったのかも。なんだったら、本当に何もなくて私の思い違いだったのかもしれない。

でもそんなことはどうでもよかった。とにかく、嬉しかった。「スイカだ」って、自分が思えたことが嬉しかった。

季節に乗っかっている


ぐるぐるぐるぐる頭で考えていたけれど、私の感覚、嗅覚は確実に夏に傾いている。私が知らないうちに、わたしは季節の流れに乗っかっていて、夏に向かっているように感じた。

そう思うと、なんだか色んなことが良い方向に変わっていく気がした。励まされた。

早くスイカをおいしく食べれる季節になってほしい。


そうなったら、次はきっと暑さに苦しんでいるだろうけど。

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