ちょっと思い出しただけ

クリープハイプのアルバムが出るっていう情報をキャッチして、尾崎世界観のツイッターに載せられたメモのスクショの歌詞を見て、胸を占めるあのころと同じ高揚を思い出す。実際に曲を聞いて、「あぁ、おしゃれ系か~」というのが、左耳や寝癖、さっきはごめんね、ありがとうが好きな私の素直な第一印象だった。インスタやツイッターでも、ナイトオンザプラネットの見弾き語り動画をよく見かけた。それを見て聞いて、流行りに乗っただけだろ、と思ってしまう古参ぶった自分もいた。

だけど、今日映画を見た、「ちょっと思い出しただけ」。そんなこと、どうでもよくなった。

尾崎世界観といえば思い出す松居大悟監督の映画。ずっと観たいと思っていたが、当時は「私たちのハァハァ」(リバーシブル―の、あれ)が最寄りの映画館でやっていなかったのかかなわず、恥ずかしながら今回の「ちょっと思い出しただけ」が、初めて観た松居監督の作品だった。

私は映画を見たあと、あまり人と語りたいと思う性質ではないのだが、こんなふうにnoteに感想を書き連ねてしまうほど、胸の高揚を感じた。クリープハイプファンとしては、楽曲提供だけでもうれしいのに、尾崎世界観本人が出演するというのも非常に良かったのだが、何より、クリープハイプ楽曲を劇中であんなに演奏するとは思わなかった。コロナで全くライブにも行けていなかったし、なんだか映像を見るのもむなしくなってしまいそうで少し敬遠してしまっていたのに。準備もできないまま、ずっと憧れているバンドの演奏を映画館の音質でぶつけられて、もうどうしようもできなかった。お腹がすきすぎて買ったポップコ―ンをにぎりしめて硬直していた。頭を鈍器でなぐられたことはないが、きっとあんな感じなんだろうと直感的に思う。ちなみに、出会ったばかりの二人が飲み屋街で踊るシーンが好きだ(尾崎世界観の弾き語り、周りの風景ともあいまって、YouTubeがはやる前にいつかYoutubeで見た動画を思い出した)。

映画をみたあと、帰ってクリープハイプの日(仮)2021のライブDVDを聴いた。見た。「ちょっと思い出しただけ」のナイトオンザプラネットは完全に単なるおしゃれ曲ではなくなり、私のクリープハイプはやっぱり最高だった。私の人生を、イライラするだけじゃなくて、キラキラさせてくれてありがとう。

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