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ほふく前進する男

私は仕事で
ほふく前進をした事があります
しかも氷の上をです


自衛隊とか
他国の軍隊ではありません


世の中にはあまり知られていない
仕事が沢山あります


私はあまりデスクワーク、
いわゆるホワイトカラー的な
お仕事には携われませんでした


地頭の良くない
学歴も良くない
そんな人間だからです


転職を何回かしました


その中に
運輸・物流業に関わる仕事をした時
氷の上でほふく前進したのです



運輸・物流と聞くと
トラックでの配送の仕事
倉庫・物流センターでの仕事
が浮かびます


それ以外には当然
空輸・海上輸送などがあります
輸入と輸出ですね


海外からの荷物は
輸入時に検査を受けます


この辺りはたまに
空港での業務をテレビなどで
放映しるのでイメージしやすい
かと思います


大抵は人が運べる程度のもの
麻薬とかがクローズアップされますが
大型の荷物・大量の荷物は
海上輸送、船でコンテナで
運ばれます


これの検査の仕方は色々ありますが
一般の方、業界でない方は
どのように検査しているか
はあまりご存知ないかと思います



まぁ、当然なんですけどね
その業界にはその業界以外には
知られていないことが多々ありますから



さておき
コンテナの検査は大きく分ければ
(書類の検査があってから)
X線の検査と目視の検査
2つがあります


X線はわかりやすいですね
大きなコンテナですが、X線を通して
中を開けずに検査をします


目視は字の如くです
中を開けて異物がないか
書類に記載されていないものが
入っていないかを検査します


野菜・果物といった食品であれば
外国の虫がついていないか
等を検査します



私はこの食品関係に
携わっていました


港のコンテナヤード
と呼ばれるところで検査は
行われます

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コンテナの大きさは
大きく分けてこれも2つです


20フィート  約 6メートル
40フィート  約12メートル


これが船から降ろされて
検査の為、ヤードにおろされます



開けて検査するのですから
当然、間隔をあけて
コンテナが並べられます



コンテナが多ければ
その距離はどんどん長くなります

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そこに国の検査機関の方々が
やってきて検査をするのです



その方達が検査する前に
私はコンテナの中から
検査対象になるものを
出して用意するのです



中身全てを検査するのではなく
一部を決められた一定数の
検査となります



例えば
Aというフルーツは
10ケースを検査する

Bという野菜は
5ケース検査する

といった感じですね



コンテナから出して
梱包されているのものは
袋を外したり、破いたりして
用意しなくてはいけません



検査員の方は
並べられたコンテナの前から
順番に検査を行います



当然、コンテナは何十個
とあります



私は検査員が検査している間に
次のコンテナの用意をします


もたもたしていると
検査員が検査を終えて
次の対象に向かってしまうからです



走ります
走って次の検査コンテナの
用意をします



先に書きましたが
コンテナの長さは
6メートルと12メートルです


まぁ殆どが12メートルです


単純に10個あれば120メートル
間隔があいているので
150メートル以上になります



そこを走って、
中から検査対象を出して
さらに中身を出して用意する



コンテナの中身が1種類だと
まだ楽な方ですが


混載
いわゆる何種類か一緒に入っている
という状態のものだと
非常に手間・時間がかかります


コンテナは箱の片側しか開きません



なので混載を開けた時、
手前に1種類しか見えてなければ
奥の違う種類を引っ張り出さねば
なりません


だから時間がかかるのです


時間との勝負なのに
非常に焦ります


厄介なのは
12メートルのコンテナの中で
奥に少ない数量のものが
詰められていて、
手前が多い方の種類
というパターンです


奥の3メートルにA
手前の9メートルにB
といった感じですね


Bを9メートル掘り出さないと
Aが出せないのです


9メートル掘り出すには
時間がかかりすぎます



なのでどうするか


コンテナの中、
上部には隙間があります

一応、
ここまでしか積み上げてはいけない
という上限のラインがあるのです


その上限ラインを超えないように
箱を積んでいくので、
上限ラインよりしたになっていることが
ほとんどになります
(箱の大きさが決まっているので)

そうなると大体40cm程の
隙間があるのです


そこをほふく前進して
奥の荷物を取り出す
という訳です

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その際、食品の種類によっては
(私の担当の種類は殆どが)
氷が敷き詰められているのです



40cmの隙間
敷き詰められた氷の上を
をほふく前進し
奥から荷物を出す



最初に書きませんでしたが
野菜・果物の詰まった箱は
大体10k以上あります


そのケースを
寝転んだ姿勢で這って出す
普段使わない筋肉を使います


しかも時間制限アリですからね

9メートル這って
10kg荷物を掘り
9メートル押して戻る


過酷な障害物競争のようです


そしてコンテナヤードに
屋根は殆ど存在しません


しかし雨の日でも検査はあります

検査した荷物は
中に戻さないといけません


そして更にコンテナヤードは
1ヶ所ではありません…


皆さんは想像がつくでしょうか



え?そんな過酷なら
複数人で行けばいいんじゃないの?


そうなんですよね


しかし残念ながら
会社は人件費を削って利益を出す
というのを真っ先にするところが
多いのです


非常に残念です



それに比べて
今の独りビジネスは屋根もあり、
時間に追われることもありません


本当に有難いと実感しています


ザっとですが
氷の上をほふく前進するお仕事
なんとなく想像できましたでしょうか


一度部屋で
ほふく前進してみて下さい

そしてできればその姿勢で
10kgのおもりを
押してみて下さい


もちろん時間制限つき
約10分くらいかな?


ダイエットになるかもしれません


あ、その際
腰など痛めないで下さいね


最後まで読んで頂き
有難うございました

ここを読まれた方が少しでも 人生を楽しく・楽に過ごせる そんなお手伝いが出来れば幸いです サポート頂けると 一層の励みになります ご覧頂き有難うございます