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【小説】poco a poco
トアは思う。
人間には、何か自分からは見えない棘棘があって他人を刺すものだと。だからと言って、人間を好かんとすることは難しく。もうどうしようもないけれど、興味を止めるには惜しい気がする。
フリシは思う。
人間には、何か他人からは見えない棘棘があって自分を刺すものだと。だからと言って、人間を好かんとすることは難しく。もうどうしようもないけれど、行動しないことは惜しいのだ。
2人の呼吸が薄くなっていく。
フリシは呼吸を止めた。
歩くのは楽しいと、思わなくなったのは1人だからだろうか。トアの足跡は次第に距離を詰め、いずれ止まった。
静かに。
地面の呼吸に耳を傾けて。
トアはそっと、優しい気持ちと一緒に。
呼吸を保留した。
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