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化粧水がしみる~バリア機能の理解で今から対策~

そもそもしみる理由

過去の記事でも少し触れてきた化粧水がしみるという現象。その原理は意外に単純で、肌のバリア機能に穴が生じてしまう事で、そこから化粧水が本来浸透する必要のない部分にまで入り込んでしまい、炎症を発生させることがあります。今回は化粧水がしみた時のバリア機能の状態とスキンケアの方法を説明していきたいと思います。

皮膚のバリア機能について

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皮膚には本来花粉やP.M2.5などあらゆる刺激や毒物を体の内部に取り込まないようにするバリア機能を持つ角質層が存在します。角質層は十分な水分で満たされると肌が傷つきづらくなり、外的刺激に強くなります。また、外からの侵入物を防御する機能も備えることが出来ます。反面、肌表面が乾燥してくると水分が蒸発してしまい、バリア機能に隙間が発生します。このことから肌に赤みが生じたり、ぴりぴりとした痛みを感じ、より悪化すると化粧水がしみてしまうのです。

トピック~角質層のバリア機能について~
角質層では皮脂の下にケラチンというたんぱく質と細胞間脂質、NMF(天然保湿因子)という物質が存在して、肌を守っています。角質層の一つ下の層ではケラチノサイトと呼ばれる物質が角化し、K10などのケラチン機構によってケラチンが作られます。また、その1つ奥の層では表皮顆粒細胞でプロフィラグリンとして生合成され、様々な分解過程を経てタンパク質のフィラグリンが産生されます。これらが反応することで、角化外膜としてバリア機能の基礎を作り上げます。フィラグリンは最終的にNMFとして角質層で保湿力を維持する成分の一部となります。プロフィラグリンは分解酵素がないとフィラグリンになることが出来ず、フィラグリンの不足もバリア機能に隙間が生じる原因になります。元々アトピー肌の人やお肌がつっぱったり乾燥を感じやすい方はこのような状況になりがちだと言われています。


バリア機能のケア方法~角質層回復へのススメ~


①まずは保湿対策を
基本的には乳液で水分が逃げないようにすることが大事です。化粧水がしみてしまう場合は洗顔後に化粧水をいつも使う量よりも少なくするか、使用する前に手で温めて温度を上げてからご使用ください。その後、乳液でしっかりと保湿を行うことも重要です。

②抗酸化作用のある成分を取り入れる

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酸化する際に発生する活性酵素が人体にとってよくない影響を及ぼします。紫外線を浴びることで酸化する際に発生する酵素を抑える働きがあるのはダマスクローズ精油の中に含まれるフラボノイド化合物(ポリフェノール類)は勿論、ビルベリー葉エキス、アスタキサンチン液やアロエエキスなども効果が期待できます。また、食事に抗酸化作用の高い成分が含まれる食物を取り入れること体内から酸化のダメージを抑えることが出来ます。例えばリコピンが豊富に含まれているトマト、皮の部分にポリフェノールが潤沢に含まれているリンゴやナス、ビタミンCが豊富なイチゴ、キウイフルーツ等。ただし、ビタミンCは水溶性であるため、軽く洗って生で食べるようにしてください。

トピック~ワセリンについて~
肌のかさつきや皮がめくれてしまうのを防止するために、保湿剤として皮膚科医からワセリンを処方されることがあります。ワセリンは石油から得た物質を生成したもので、パラフィン等の成分を含みます。石油製品を使うと肌に浸透してしまうのではないかと懸念される方もいますが、ワセリンは分子量が大きく、角質層まで入ることが出来ません。皮脂膜のさらに上にとどまり、肌を外的刺激から守ってくれます。HANAオーガニックでは石油由来成分の使用を推奨しておりませんが、短期でご使用いただく場合につきましては問題ないと考えています。肌を清潔にした後にワセリンを塗布し、その後は顔をごしごしすることを控えるとワセリンとしての効果を発揮しやすくなります。ケミカルな成分は人体に対してよい効果をもたらす成分ばかりではありませんが、お肌のかさつき、赤みがひどくすぐに直したいという場合は、症状が落ち着いてから天然成分のスキンケアに変更頂くとお互いの効果が実感できるかと思います。


参考文献

天然保湿因子産生酵素の性質とバリア機能(日比野,2013)
皮膚常在菌の皮膚状態に与える影響(末次、白石ら,1994)
アトピー性皮膚炎と皮膚のバリア機能(田上,2005)


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