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私たちは誰の時計でうごいているんだろう?

先日の春菜さんとのコラボで出た「早い」が良いとは限らないというお話。

実は以前、私も早いのがいいと思っていた時期がありました。というか、早いことを求められた過去があったんです。

とあるIT企業に勤めていた時のこと。

業界自体のスピードが非常に速いこともあり、日常的に速さを求められる環境にいました。納品は24時間後、その日のうちにスタート(何を? を言うとばれてしまうのでここでは伏せます)が当たり前。クライアントも基本的に急いでいる人達ばかりだった。そのスピード感で仕事をするために日々終電を逃し、徹夜も普通な世界観の中で働いていました。

これ私の「早いがいい」の原体験です。

私たちの周りもスピードであふれている

世の中を見渡してみれば、とにかくスピード、スピード。コンビニには週単位で新商品が並ぶし、本屋さんに行くと先週までとは違う本がベストセラーのランキングに登場している。ラグジュアリーブランドだって、次々と新デザイナーを迎えたり、様々な人やブランドとコラボを展開して、新商品を投入し続ける。と同時に瞬時に消えていく商品たち……。無意識にこのスピード感を見せられていたら、誰しも早いことがいいと思ってしまうんじゃない? 意識的に思っていなくても思考のどこかに刷り込まれていくんじゃない? 

春菜さんが「早い」がいいと感じてしまうのはもちろんこれまでの経験もあると思うんだけど、早いがいい思考が現代を生きる私たちに根付いてしまっている気もするのです。つまり、私たちは自分の時計で動いている、動きたいと思いつつ、自分以外の時計で動いている、動かされてしまっている可能性がある、ということ。みなさん、心当たりありませんか?

スピードを実現するために必要なこと

でもね。

物ごとのスピードを格段に速くするには、人間の力だけでは難しいんですよ。だって身体能力を含めて人間の能力なんてそれ自体は変わっていないでしょ? 東京から大阪まで2時間で行けるようになったのは、テクノロジーが発達して新幹線が早くなったから。人間の身体能力が飛躍的に伸びて、時速2~3キロだった歩行速度が100キロになったわけじゃないってことです。商品サイクルが早いのは、人の能力が伸びたのではなくテクノロジーが進化したことも大きな理由だと思います(もしくはめちゃブラックな労働を強いられている人たちがいるか?)。

つまり、限界を超えたいと思ったら、それにはテクノロジーや仕組みの力が必要で、それが実現されている世界でのみスピードが上がっているということ。これをなくして人間の力だけで2倍にします! 10倍にします! なんてない。私の書くスピードは、書き慣れることで少しは早くなったけど、2時間かかっていたものが15分になることがないのと同じです。だから、自分(人間)の力だけで何かを早くしようなんてそもそも無理ゲーなんです。

「遅い」の罪悪感をなくすために

遅いことに対する罪悪感が生まれる背景には、行き過ぎた世の中のスピードに対する意識ってある。そしてその刷り込みによって人間が何かを早くできると勘違いしちゃってるけど、人間の能力は伸びていない。ということは、あまりスピードって気にする必要、そもそもないんじゃない? って話です。

一方で、私たちはそんなスピードを求められる世の中に生きていること、早いがいいと思っている人も一定数いることもまた事実。だから、その事実を認めつつ、どう受け止めて、自分の生活・時間を生きていくかなんだと思います。いつも何かにせかされているような気分をいったん俯瞰(ふかん)して、「いやいや、ちがうよね?」って言って、自分の時計に戻していく作業。現代のスピードに巻き込まれがちが私たちには、この視点が必要なんだと思います。

どうして急いでいるの?
それは誰のため?
相手は本当にそのタイミングを求めているの?
そのタイミングで私は無理をしていない?

これらを確認して、相手もしくは自分自身との合意形成に持っていけばいい。仕事の場面において何よりも大切なことは「約束を守ること」なのだから。早いがいいとか、遅いが悪いとかじゃないんだよね。

だから、努力してもどうしても合意形成できない相手とはさよならしたっていいんです。理由は言わなくていい。そっと離れましょう。それが会社であっても個人であっても同じです。チャレンジとして意図的にそれを選ぶスタンスならアリですが、それ以外は無理をすることになるだけ。それってサスティナブルじゃないし、結局最後は自分も相手もしあわせにならないから。

ほかの誰でもない、自分の時計で動こう。
自分のことも相手のこともしあわせにするために。

春菜さん、無理せず一緒に走っていこうね♪

おまけ:私の買い物体験

春菜さんが服部みれいさんのお店でのお買い物体験を書いていましたが、先日、私も月刊手紙舎というサイトでお買い物をしました。

私がお買い物をした5月号のWeb Shop がオープンする期間は5月1日(土)~7日(金)のみ。そして購入した商品が発送されるのは、5/27(木)~6/18(金)。私は5/3(月)に買い物したのですが、商品購入から1か月経過した今もまだ手元に商品は届いていません(笑)。Amazonや楽天で買い物して商品が翌日届くことに慣れてしまっている私には、ずいぶんゆっくりに感じるのですが、これもまた行き過ぎたスピードに慣れた私たちへのアンチテーゼなのかもしれません。イライラせずに、待つ時間を存分に楽しもうと思います。


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