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カストア教会(コブレンツ/ドイツ) その2

続きです。「リザ」は、コブレンツ特有の聖女で、正式な聖人ではないそうです。ルードヴィッヒ皇帝(おそらく1世)の娘とか。今回で完結します。

【内装】正面入口の左右:後期バロック時代(18世紀半ば)に白大理石で作られた二つの像があります。コブレンツ城に飾られていたものだとされる聖母マリアの両親、ヨアキムとアンナです。右手のガラスの奥には、複数の人物像からなるキリスト磔刑の墓碑があり、16世紀後半に作られたものです。

中央通路:壁に沿った4本の柱の上に4体の石像があります。旧約聖書に登場する4人の預言者で、1858年に作られました。極めて美しく装飾された初期バロック様式の説教壇は、1625年に砂岩で作られました。その木製の箱型は六角形の4面を使っており、5つの隅は善き羊飼いと、初期教会の4人の司祭(アウグスト、ヒエロニムス、アンブロジウス、大グレゴール)の立像で飾られています。浮き彫りは福音者とそのシンボル、そして発注者や聖人たちの19の紋章です。愛らしい錬鉄の手摺りの終点には小さな頭像があり、おそらくは鉄細工職人の自画像です。

交差天井の美しい要石にも注目です。西側の横梁に書かれている『船がやってきた』がモチーフになっています。隣接する横梁中央では、救世主の苦しみが表されています。どちらも建築期に遡る彫刻で、4つの美しい石の紋章は、1876年前後のものです。1988年、交差天井は当初のゴシック期の色彩で修復されました。

左(北側)の側廊。エントランスホールにあるのは、1627年に初期バロック様式で描かれた聖ゴールの油彩画です。傍には、トリーア選帝侯であったヨハン・フィリップ・フォン・ステーンの紋章があり、額は後世に古典様式で作られています。聖カストルを描いた類似の肖像画が南側側廊の告解室の上にあります。17世紀の墓跡が続きます。”聖リザの宝物箱”とその祭壇(1894)が、側廊中央部にあります。次い、近年発見されたばかりの、ゴシック時代のフレスコ画があります。次に、1607年に亡くなったディーコン・マテルヌス・ギレンフェルトという人物の墓があります。セバスチャン・スパルマイヤーという彫刻家によって、初期ゴシック様式で作られたものです。パーツを繋いでいる女性彫刻にご注目ください。

右(南側)の側廊。入口から来て最初に15世紀の墓石がひとつ、18世紀の墓石が2つあります。次に、ネオゴシック様式の額に入った15世紀のマリア像があります。鉄柵は1992年にレウブスドルフにあるセバスチャン・ホッペン社が製作しました。洗礼盤は大理石で、18世紀にラーン川流域で作られました。背後には、モダンなタピスリーが飾られています。南側扉の手前に、対になった墓があり、1411年になくなったコブレンツの君主、フリードリッヒ・フォン・ザッシェンハウゼンと、妻であるソフィー・シェンク・フォン・リーヴェンシュタインのものです。彼らはほぼ生前の大きさと当時の服装で砂岩に彫刻され、ゴシック様式の装飾が施されています。この墓は、ライン河流域独特の”ソフトスタイル”の好例です。南側扉の左側にあるものはシェーンボルン家の碑文で、1480年頃に砂岩で作られました。

交差部。テルセやジュラ地方から運ばれた石灰岩でできた祭壇があります。1990年にケルンのテオ・ハイアーマ氏によって彫られました。天井梁の要石は非常に美しく、15世紀の聖母子です。梁の根元を支えている人物像があり、聖カストル、聖リザ、ルードヴィッヒ1世、ヘッティ大司教です。南側翼廊の東側には、1719年にバロック様式で作られたシーミッドブルグ男爵の記念碑があります。建物風の土台はラーン地方の大理石で、キリスト像はアラバスター陶器です。南側のには、12世紀に初期ロマネスク様式で作られた4つの墓石があります。その上にはかつての教会障壁にあった、12使徒の絵画があります。これらは木の板に描かれ、15世紀後半に描かれたキリスト、マリア、聖カストルとリザの絵画に囲まれています。

クワイヤ(内陣)。円蓋が印象的な長方形の内陣は、1848年にラソックス社と画家ハインリッヒ・クノースによって作られました。祭壇は1990年に改装されました。古典様式が魅力的です。階段状の形はブロンズ製の大きな十字架へと続いていますが、これは1685年に作られ、ニュルンベルグのジョージ・シュベイガーの傑作のひとつといえます。円蓋の巨大なフレスコは1849年にコブレンツのニコラウス・セッテガストによって描かれましたが、彼は最も偉大なナザレ派の画家の一人と言えます。その下には、13世紀の初期ゴシック様式の絵画もあり、やはりキリストの変容を表しています。

トリーアの大司教であり選帝侯でもあったクーノ・フォン・ファルケンステイン(1388埋葬)の初期ゴシック様式の墓は、北側にあります。壁龕の絵は、ウィルヘルム・フォン・ケルンとされています。彼の後継者であるワーナー・フォン・ファルケンステイン(1418埋葬)の墓は南側にあります。2つの墓石の制作年は50年ほど違います。壁龕のフレスコは19世紀のもので、1991年に修復されました。

窓は、1952年から1956年に作られ、作者はアロイス・ステットナーです。

1979年から1990年にかけて、教会の内装と外装はすっかり修復されました。総費用は770万ドイツマルクに及び、公的資金や後援者の寄付によって賄われました。このように私たちは、長い歴史の中でもこの建物の素晴らしさを保つべく常に活動しています。歴史的、芸術的意義の高い聖カストア・バジリカ教会が、これからも神の家として未来へ受け継がれていくであろうことを感謝します。

©️Photo By Holger Weinandt - Own work, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15275743

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