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あの時のリベンジも兼ね、いつか夫と再び京都を訪れたい

1週間前に岐阜県の高山へ向かう際、東海北陸自動車道沿いに見た紅葉があまりにも綺麗だったため、今でも家族の間では話題に上がってきます。

夫から、
「京都の紅葉は良いみたいだね。いつか見てみたいね。」
と聞いたときに私はあることを思い出し、
「いいね。それと一緒に二条城のリベンジもしたいね。」
と言いました。

私と夫がお付き合いをして1年半がたった頃、二人で京都旅行をしました。それも夏真っ盛りのときに。

24年前のことで、どこを観光したのかあまり覚えていないのですが、清水寺へ行ったことはよく覚えています。猛暑の中、清水寺までの坂道を、あの時はまだ初々しかった私たちは、手を繋いで歩きました。

私は暑さはそれほど気になりませんでしたが、夫は豪汗を掻き、タオルで何度も汗を拭っていました。私は、小学生の時には家族と、中学生のときには修学旅行で訪れたことがありましたが、いつか彼氏と訪れてみたいと思っていたので、暑さより嬉しさの方が勝っていたのです。

夜は鴨川沿いを歩き、なん軒も並ぶ納涼床を眺めながら、お祭りに来ているような感覚を楽しんでいました。夜になっても蒸し暑さは残り、夫は私の隣りで微笑んでいるものの、頭や顔からは汗が流れ落ち、シャツは汗でぐしょぐしょになっていました。

翌日は、二条城へ。

運転していたのは夫。私は助手席で、二条城までの道案内をしていました。二条城の駐車場近くまで来たときに、
「そこの交差点を右に曲がって。」
と指をさしながら伝えると、夫は
「どっち?!」
と怪訝そうな表情をして私に言うのです。
「右だよ!」
少しイラッとした私は、強い口調で答えると夫はこう言いました。
「口では右って言ってるけど、差す指は左だから分からん!」

車内は不穏な空気が漂ったまま、二条城の駐車場ゲートをくぐりましたが、機嫌を損ねて仏頂面の私は、
「もう、二条城には行かん。○○ちゃん(夫)も疲れたんなら、もう帰る!」
と夫に言い放ってしまったのです。

前日からの猛暑と、人混みに揉まれた京都巡りに疲れていた夫は、私をなだめる気力もなくなり、駐車場をぐるりと1周し、出口ゲートをくぐり、京都観光は終了。当時住んでいた名古屋への帰り道は、お互いひと言も口をきかず、1時間半沈黙の時間を過ごしました。

私は中学生の修学旅行で京都を訪れたとき、団体行動や思春期特有の人間関係を気にしすぎて、あまり楽しめなかったのですが、二条城の「鶯張りの廊下」を歩いたときに、不思議で面白い、と感じた思い出は色濃く残っていました。いつか気兼ねなくいられる人と一緒に行きたいと思っていた場所でした。

夫と京都旅行に行くことを決めたときも、一番に候補に挙げたのは二条城。大きな身体の夫と一緒に歩いたらどんな音が鳴るんだろう、という可笑しな期待を抱き、夫と「鶯張りの廊下」を歩くことを楽しみにしていました。

それなのに、私の口と指が逆を指したことをきっかけに、喧嘩が勃発し、二条城の外観をかすかに眺めるだけになってしまいました。

今となっては、二条城の駐車場での出来事は二人にとって笑い話になっていますが、いまだに私は、動作と言葉がズレていることがあります。そんなズレも今では、私の癖だと夫は理解し、笑い飛ばしてくれます。

この二条城のエピソードを娘に話すと娘は、
「よくそのときパパ怒らなかったね。」
と言いましたが、本当にその通りだと思います。

今では私は、夫が猛暑や人混みに揉まれ、ハードなスケジュールの旅行が苦手だということも、充分に承知しています。

あの時のリベンジも兼ね、いつか夫と、過ごしやすい紅葉の季節に、ゆとりのあるスケジュールで、京都を訪れたいと思います。そして、2人で二条城の廊下を歩きたいです。



ヘッダーはクロノツカヤさんの画像をお借りしました。
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