14話
センパイの車の中は、洋楽が流れていた。
センパイ、洋楽、好きなの?
「そだよ!洋楽とか聞く?」
んー
ビートルズとか、イーグルスとか、中島みゆき、とか。
「古っ!しかも、中島みゆき、日本人だし!」
センパイ、短大は楽しい?
「楽しいよ。そっちは大学とか行くの?」
んー
体育大学に行こっかな。
(俺、将来、何やりたいんだろ?)
彼は、自身がセンパイを好きなことを確信した。
後ろの席には、他の部員も乗っていたので、さすがにそこで「好き」みたいなことは言えなかったが・・・
同時に彼はこんなことも思った。
俺、今日、来なければ良かったかもしれない・・・
センパイは、やりたい夢に向かって短大へ進み、すごくキレイで可愛くなったし、高校のとき以上に輝いている。
俺は、ガキだ。
俺は、センパイと釣り合っていないことを痛感したわ・・・
そして、夏の終わり。
周りが受験勉強に集中する中、彼は、なんとなく過ごしていた。
たまたま帰りが一緒になった、水泳部の1つ下のコウハイの女の子。
物静かで真面目なコウハイ。
昔から、ちょくちょく話してはいたが、いろいろあった彼の視界には入っていなかった。
その日がキッカケで、2人はよく話すようになり、急接近し、季節が秋へ差し掛かるとき、彼はひとつの感情を抱く。
ああ。
俺、コウハイに恋愛感情を持っている。好きだ。
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