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41歳、膿を出す

「四十代になると体の調子が悪くなるよ~」


何人もの先輩たちに教わりました。現在41歳、本当に予言どおりになってきています。たとえば、歯。先月から週に一度のペースで歯医者に通っています。はじめは歯周病の治療、一カ月後にやっと終わった!と思ったら、次は「歯の根本の治療」ですって。虫歯になり神経を抜いて銀歯をかぶせたっきり、二十年。知らないうちに根本に膿が溜まっていたようで、歯ぐきにも白いニキビのようなできものができました。

銀歯をはずす、というか砕いてもらって、歯の中を細い針のようなもので、ほじほじほじほじ…と根元まで発掘してもらいました。わたしは口を開けたまな板の上の鯉状態なので、先生の説明そのままですが。神経を抜いているので痛みもなく、初日の治療は終わりました。

次の日起きて鏡をみると、歯ぐきのニキビが成長している!「多分、昨日の治療が刺激になって膿が出てきているのかも」と自分を納得させて、痛くならないようにびくびくしながら買い物にでかけました。お昼ごはん、まだ痛くない、けど、また大きくなっている気がする!おやつの時間、ついに痛んできたー!もわんもわんと脈をうっている感じです。我慢できるので晩ごはんのしたくをしていたら、あっという間に夕方。

包丁を持った手を止めると、あれ?痛くない。なんだ治った?鏡を見てみると、白ニキビ君が消えてる。どこにいったの?ちょっと寂しい気持ちで大きな口を開けて観察していると、今度は急に「クサい!」。薬品のような苦い風味と、腐ったものの風味がまじりあった、奥深いクサさです。一日二日では作りあげられない、熟成を感じました。急いでスマホで調べてみると、溜まった膿のせいでニキビ君が破裂したらしい。ということは、この味わいの正体は…、「膿」。

そうか、このクサいものが二十年間の負の部分なのだなと、苦みを味わい始めました。


「二十年前…まだハタチそこそこ。何をやっていたべか?」振りかえると、
体をこわして公務員を一年で退職。
結婚するも一年で離婚。
北海道が嫌になって上京。
東京で働くのは過酷。
再婚して人生で初めてほっとする時間がもらえて引きこもる。
出産は二日間の難産。
この諸々のできごとから受けたダメージがどろどろとしたものとなって、歯の根本に蓄積されていったように思えます。

そう、このクサさが「あのとき大変だったんだよ~」と、過去を忘れかけている自分に教えてくれているのかもしれません。「がんばったね、もう無理しすぎないでね」心の中でつぶやきながらうがいをして吐き出しました。人生後半戦はうまいこと膿を吐き出しながら、楽しく生きていきましょう!



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