失恋墓地 #毎週ショートショートnote
「今日の合コン、何だったんだろうね」
私達三人はそう言いながら、マクドナルドでコーヒーを啜っていた。
三人揃って失恋したばかりの私達は、元彼を忘れさせてくれるような、面白い人との出会いを求めていた。そこで、顔の広い岡田君に合コンをセッティングしてもらったのだ。しかし、どうやら「面白い」の方向性が違っていたようだ。
私達の自己紹介が終わったとき、林という男が突然、
「君達三人がここに揃うなんて奇跡だ!」
と言い、興奮した様子でこう続けた。
「君達の名字は、何と日本三大墓地と同じなんだ!」
林は墓地マニアだった。
私は前田。あとの二人は毛利と万松。そこそこ珍しい名字だ。林の話によると、前田藩墓地、毛利家墓所、万松院が日本三大墓地と言われているらしい。
「いっそのこと、元彼をそこに埋葬したいよ」
私達三人が失った恋も、その日本三大墓地とやらに葬りたいものだ。
「ぼちぼち行きますか…」
ため息交じりに、私達は席を立った。
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ちなみに、万松さんという名字は、国内におよそ10人ほどの、かなり珍しい名字のようです。貴重な名前をお借りしました。万松さん、ありがとうございました。
お読み頂き、本当に有難うございました!