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童話小説「ガルフの金魚日記25」

 ぷくにこんなお便(たよ)りというか、苦言(くげん)がとどきました。
『絵(え)は稚拙(ちせつ)だし、文章(ぶんしょう)だっておかしなところがある。それより誤字(ごじ)脱字(だつじ)は、どうにかならないのか…』などなどでした。

そうだったんですね。ぷく。
ぜんぜん知りませんでした。というか、実は、うすうすは、わかっていたんですけどね。

ぷくを生んでくれた作家さんの悪口は、いいたくなかったので、これまでだまっていたんです。
これまでガマンして読んでくださったみなさまに、作家になりかわり、深くおわびと、お礼をもうしあげます。
「ぷくぷく、ぷく。ぷくーぷく」

ところで、ぷくはおしゃべりはできますけど、字を書くことも、文章を読むこともできません。ですから作家さんに、口述筆記をお願いしていました。
この作家さんの仕事ぶりをご紹介(しょうかい)します。ほんとうはないしょだそうですけど、ちょっとだけならいいでしょう。

ぷくのおはなしの投稿(とうこう)は、夜にしていますよね。なぜかというと、この作家さん、まいにち、まいばん、晩酌(ばんしゃく)をしています。けっこう、楽しみにしている風(ふう)なんです。

それも、日本酒です。純米(じゅんまい)酒(しゅ)だとか、吟醸(ぎんじょう)酒(しゅ)だとか、生(なま)酒(ざけ)とか、微(び)炭酸(たんさん)酒(しゅ)に酸味(さんみ)の利(き)いたお酒を、日本中から集めて飲んでいるようです。

江戸キリコのカットグラスに、ブロックアイスを入れて、そこに冷蔵庫で冷やしておいたお酒を、とくとくとそそぐ。そして、生レモンをギュッとしぼって、入れるのだそうです。

そんなものがおいしいのでしょうか。ぷくにはまったく理解(りかい)できません。ぷく。
それに、お酒をつくっている蔵元さんが知ったら、きっとにがい顔をするのではないでしょうか。しーらない、ぷく。

もしですけど、金魚のぷくがお酒を飲んだらどうなるのでしょうか。金魚は、もともと赤いですから、これ以上(いじょう)は赤くはならないのでしょうか。
顔が青くなる人がいると聞いたことがありますが、ぷくは、青い金魚になるのでしょうか。青い金魚なんていないから、めちゃくちゃめずらしがられるかもしれませんね。そうなるとずーッとお酒を飲んでいなければならなくなる…。
ぷくはすぐに、アル中になってしまいそうです。

それはさておき、この作家さんが焼くパンは、おいしいですよ。ぷくがほしょうします。ときどき、おみやげにいただいたものを冬さんが、小さくちぎってぷくの口に入れてくれます。

ふわっとしてて、口の中にやさしい甘みがひろがります。もぐもぐかんでいると、やがて、小麦の香りがひろがります。ほんとうにおいしいとおもいます。からだが元気もりもり、生きかえるようです。ぷく。

 あーそうそう、パンやお酒のはなしじゃないですよね。ぷく。
それで、この作家さん、たらふくお酒を飲んだあとで、ぷくのお話を書くもんですから、あたりまえですよね、へんな文章になったり、誤字脱字が多くなるのもの。

さきほどのはなしですが、作家さんには、ぷくのほうからきつく申し伝えておきます。ですが、どれほどの効果があるのか…。ぷくー。

さて、明日からは、冬さん家族のお話しにもどります。最初に登場するのは、おませな秋ちゃんだそうです。
秋ちゃんは、大好きなケンちゃんから、おまえはうそつきだ、っていわれ、大きなショックを受けました。部屋にこもって、しくしく泣いていました。

その原因(げんいん)はぷくにあったのですが、それは明日の金魚日記へつづくのです。
あしたをおたのしみにぃ。ぷくぷく。

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