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未来の住宅建築はどうなる?

自宅近くの空き家に、不動産屋のノボリが立った。
整地され、しばらくすると、看板が付き、フェンスができ、すでにある程度、組まれた鉄筋がおいてある。
ユニット鉄筋みたい。

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それをみて、ふと思った。
10年後、20年後の住宅建築ってどうなっているのだろう。

木でつくる家

住宅の場合、木造で建てられることが多い。
コスト面でも有利だし、まぁ、「木」と呼べるかどうかは別として、元々が「木」である素材は、はやり心地がよい・・・といっても、昔と違って、壁や天井の中に柱や梁が隠れていて、木なんだかどうか、よくわからなくなってしまっているけど。 

木造建築の工法

木造建築には、ハウスメーカーや工務店によって工法がいろいろあるが、大別すると、木造軸組工法と木造枠組壁工法(通称ツーバイフォー工法)に分けられる。 木造軸組工法は、柱と梁で骨組みを作って屋根をかけて壁を完成させる。 ツーバイフォーは基本材料が2インチ✕4インチの材で、柱という概念がなく、枠材と壁で構成されている。横からの力に対しては、いずれも床で支える。

建築現場の状況

どちらも、木材は工場でカットされたものが現場に搬入されて、それを組み立てて、金物で固定し、屋根下地と壁を取り付けて、造作、つまり、ドアや間仕切りなどの建具、階段、フローリングなど、内部の造りをを作る、のが大工さんの仕事になる。 造作大工さんは、別のこともある。 現場では、電動機器は多用されているが、かんな削りをしたり、ノミを使っている大工さんは、ほとんど見かけなくなった。 

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建て方

木材は、工場であらかじめカットされてくる「プレカット材」。
設計図面に基づいて、木材を組み立て材に加工するプレカット工場から
搬入されてくる。 木材同士を継ぐ場所も、継ぎ方にも決まりがあって、
工場では、それもちゃんと考慮した木材を送ってくる。 図面通りのカット材なので、余ったり、足りない、ということがない。 それを、現場で大工さんが組み立ててゆく。この構造材の組み立てを建て方といいます。

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金物取付け

金物も取付け場所も、釘やビス、すべて決まっているので、きちんと取り付けたら、余分だったり、足りなかったり、ということは計算上はない。 

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大工さんというよりは、大型プラモ組み立て屋さんみたい。 うう~ん、これだと、ヘルプがあれば、家は自分で建てられるな・・・と常日頃、思っている。 実際には、垂直すら出せないし、材料を運ぶ腕力がないし(結構、鍛えてはいるんだけど)、細かい取り合いなど経験がないと、そうそう簡単ではないとは思うが、DIYで慣らした人ならできそうだ。

ハウスメーカーなどでは、もっと簡素化されていて、工場で作られた部屋を運んできて、取り付けるところもある。 朝なにもなかったのに、夕方には、家が建っている、という驚きの光景だ。

基礎工事

だが、基礎工事という、家の土台づくりの部分の工事は、なかなか工場生産というわけにはいかない。土壌に応じて杭を打ったり、整地したり、基礎の鉄筋を支える土台づくりをしたり。 その上に、家の周囲と内部の間仕切りに合せて鉄筋を組んで、型枠を作り、コンクリートを流し込んで家の足固めをする。 木造といえども、土台部分は鉄筋コンクリートなわけ。

ユニット鉄筋

そこまでは、本職さんにお任せするしかないなぁ、と思っていたが、最近は、基礎の鉄筋も工場で組んでくるユニット鉄筋をみかける。

ユニット鉄筋とは
「自動化された機械」により、切断、溶接、曲げ加工を行った基礎の鉄筋。 ユニット基礎鉄筋を使用することにより、品質や施工精度の均一化、施工の短縮化、コスト削減になる。

職人さんは、すでに組み上がった鉄筋同士を緊結するのと、工場で組み立てるには難しい細かい部分を調整する。 現場での仕事は圧倒的に少ない。 

建築現場の鉄筋同士は継いでいく必要がある。 そのための様々な継ぎ方は、現場で行う作業は、有資格者といえども、天候に左右されたり、超特急での作業だったりすると、品質に差が出る。 なので、より安全側に施工する。 その分、材料も作業工程も余分にかかる。 その点、工場での機械による組み立ては品質も均一で、工程が少ない。 余分なことをする必要もない。 時短で安価になる・・・ハズ。 設備投資分は価格に反映されるけど。

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個人的には、現場でちょっと癖のあるにーちゃんや、マッチョなあんちゃん、やさしそうで力強いおっちゃんが減るのは寂しいんだけど。

組み立て住宅

そーすると、基礎の配筋部分もDIY的にできそうな気がする。 こういうプロの手による作業工程が、工場ですでに済まされていると、これからは、週休三日制とかになれば、家は自分でつくるもの、ということになるかも。

ソフトを駆使して、図面をパソコンで描いて、法規チェック、構造計算、設備設計をやって、クラウドワークスの登録大工さんに指導と監理を受けながら我が家を建てる人が多くなったりして。 

3Dプリンタ―住宅

Forbs誌によると、3Dプリント会社のApis Cor(アピス・コー)が住宅建築会社のPIKとともにロシアに3Dプリンターの38㎡の試作住宅を24時間で建てたそうだ。 骨格のみとのことだし、平屋のたぶん無筋コンクリート造だと思うが、DIYハウスの可能性を感じる。 あらま、もう、ハウスメーカーも、工務店も建築士も要らない?

これからの住まい

安価な既製品ハウス、DIYハウス、職人さんの手によるこだわりハウス、リノベーションハウス。 選択肢が増えるかも。

職人さん大好きな私としては、大工さんをはじめ、職人さんの腕の見せ所や知恵と工夫がみられる場面が少なくなるのは残念。 日本人の心意気が感じられる惚れ惚れする建物はぜひ、残したい。

ただ、どんな家でも、そこにあるだけでは、ただのハウスという器。 人が住まうことによって、はじめて住まい、になる。 人とハウスの歴史こそが「住まい」だと思う。

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