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UXが社会を変える。アフターデジタルの世界

お裾分けシリーズ2020、第13回(8月10日)のゲストは、藤井保文さん。株式会社ビービットの東アジア営業責任者で、2014年から台湾支社、2017年から上海に駐在。ベストセラーにもなっている「アフターデジタル」の著者でもあります。

一体、「アフターデジタル」の世界って、どんな世界なんでしょう?

その前に、デジタルの世界ってどんな世界なんですか?

オンラインがオフラインを覆って、元々オフライン行動だった生活全てがデジタルデータ化して個人に紐付き、あらゆる行動データが利用可能な世界

ふむふむ。ではアフターデジタルの世界は?

リアルに付随したデジタルではなく、デジタルが起点となりリアル接点というレアで貴重な場になる。普段はデジタルで繋がっていて、たまにお店に来てくれる、そんな世界。

デジタル・リアル融合時代 = アフターデジタル 

基本はデジタルということですね。「リアルとデジタルってどっちでもよくない?」ということは、デジタルに置き換わる。だからこそ、リアルな体験が価値になる。つまり、企業競争の焦点が「製品」から「体験」に移る、ということなんです。

以前から言われてきたことではあるけれど、実際には日本ではUXがあまり重視されていない。藤井さんの著書「アフターデジタル」がベストセラーになっている背景には、日本企業のUXに対する遅れがあるようです。

コロナウィルスの影響でテレワークが進み、日本はようやくデジタルの世界に入ってきたところ。上海に駐在していた藤井さんから、キャッシュレス社会が進む中国で何が起きているのかを教えていただきました。

属性データから行動データの時代に

これまでは、属性データをベースにマーケティング戦略が考えられていました。でも、人はいろんなモードの集合体。いろんな側面があります。行動データを把握していれば、その人に適切なタイミングで適切なコンテンツを適切なコミュニケーションで提供できるというわけです。

行動データを取得するためには、継続してサービスを使ってもらう必要があります。例えば、車は数年に一度しか買い換えない。つまり、自動車メーカーは行動データを手にすることができません。

では、行動データを手にすることができるのは・・・そう、電子決済のプラットフォームを持っている企業です。だから、さまざまな会社がウォレットを出し始めているのです。中国では、アリババかテンセントに集約されて、ほとんどのサービスがどちらかに紐づいているそうです。

鍵はUXにあり

日本ではまだ乱立している状況ですが、サービスの鍵を握るのはUXです。電子決済サービスに限りませんが、UXがよければ使い続けてもらうことができ、データも溜まる。つまり、使い続けてもらうことが最優先であり、体験品質が生き残りを決めるというわけです。

データを元にUXを改善し続けなければ、他に負けてしまいます。勝者になるためには、エクスペリエンス×行動データが重要なのです。

例えば、フリマアプリ。今は、ダントツでメルカリがシェアを持っていますよね。でも実は、メルカリはフリマアプリとしては後発。取材にいったときに、何がシェア獲得のキーになったのか聞いてみました。答えは、UXデザイン。UIUXに関して、ユーザーの感情を大切にしながら作り込んでいったそうです。これは、クックパッドも同じ。投稿してもらうための体験を考え抜いていると聞きました。

自分が使い続けているアプリを振り返ってみると、間違いなく、UIUXに対するストレスが低い。みなさんもぜひ、自分が使い続けているアプリを分析してみてください(使いづらいのが愛らしいというケースもあると思いますが)。

UXが社会を変える

再度中国の話に戻りましょう。アリババの信用スコアについて、聞いたことがありますか? 日本では、「信用スコアで格付けされるなんて恐ろしい・・・」といった形で広まっている、あれです。

戸籍を持たない人もいる中国では、家を借りたりお金を借りたりするための信用情報持っていない人が75%もいるそうです。真面目に生活していても、家すら借りられない。でも、アリババを使うことでで行動履歴がたまり、光熱費払ってるよ、これくらいお金があるよ、ちゃんとお金使っているよ、ということがわかる。そうすると信用スコアが上がり、家が借りられるようになる。つまり、社会課題の解決につながっているのです。

これまでは、いいことしても証明できなかった。損するだけだった。でも信用スコアで良い行動が蓄積されるので、民度が上がってきたと言います。UXが、行動や規範が変わるきっかけになっているのです。すごいことですよね。

社会を変えるアーキテクチャ

ローレンス・レッシグによると、社会変容をもたらす4つの力は「法・市場・規範・アーキテクチャ」。アーキテクチャは環境といってもいいでしょう。テクノロジーとUXはアーキテクチャであり、社会変容を促す力があるのです。

これがアフターデジタルの世界。リアルと融合して、社会を変える力がある。だからこそ、その先の世界を描きながらサービスを生み出す必要があるのですね。

このnoteは、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論のお裾分けシリーズです。

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