素材と、果てしない好奇心と
お裾分けシリーズ2020、第4回。6月8日のゲストは、プロダクトデザイなーの川上元美さんです。
たぶん、誰もがどこかで出会っている、川上さんのデザイン。大御所デザイナーです。時代の変化を捉えながら、テクノロジーも利用しながら長く使えるプロダクトをデザインされています。テニスのラケット、包丁、複層ガラス、オフィス家具、橋(!)などなど幅広すぎて書ききれません。商業施設やオフィスにある、二連のトイレットペーパーホルダーはきっとほとんどの人が見たことあるはず!
超越した発想力はどこからくるの?
どうしたらこんなに自由にものごとを考えられるのだろう?
その発想の豊かさは、どこからくるのだろう?
プロダクトを単体で考えることはなく、そのプロダクトがどこでどんな人がつかうのか、クリアにイメージされているのだろうなと・・・作品から人と場所の気配を感じるのです。そのイメージの豊かさが、人に愛され続ける作品を生み出すのだと思います。
「形だけ、技術だけ、を追っかけるのではなく、社会の関係性の中で考えていかないとね」
それだけでなく、軽く丈夫にするために新しいテクノロジーや素材を使うことも多く、それがいつしか業界のスタンダードになっていたりします。その柔軟な発想力が素晴らしいんです。
「素材、技術、出発はいろいろ。素材を探し回ることもあるし。素材から何か作ってくれないかということもあるし。素材は重要」
その原点にあるのが、学生時代の経験。その当時、東京芸術大学では陶芸、彫金、木工など幅広くさまざまな素材に触れることができたそうです。例えば「銅を発色させるためには、どうすればいいか」など、いろいろな素材を知っていることが今に生きているのです。
果てしない好奇心
詰まるところ、その超越した発想の豊かさは、果てしない好奇心が源でした。「どういう瞬間にデザインの発想が浮かぶのか?」という質問に対して、こんなふうに答えてくださいました。
すぐ出るのもあるし、何年も出ないのがあるし
引き出しを絶えずもっている、チャージする
いろんなものをみる、興味をもつ
好奇心が果てしない
好きなことしかできない
頼まれてもできないものはできない
川上さんは、地域の木材を生かして残すプロジェクトにも取り組んでいます。例えば、飛騨の硬い杉を生かした集積材の開発。茨城県での地域材を使ったコワーキングスペース。北海道東川町で生まれた子どもたちに贈る「君の椅子」のデザイン。
現在、80歳。
素材と、社会との関係性の中で生まれる好奇心が溢れ続けています。
このnoteは、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論のお裾分けシリーズです。
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