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:読書記録「私の好きな人たちに会って欲しいと。」
2023/01/07 「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘
ややネタバレあり。お気をつけて!
あらすじ
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路面電車が走る町に越して来た青年が出会う、愛すべき人々。いくつもの人生がとけあった「名前のないスープ」をめぐる、ささやかであたたかい物語。
私が好きな言葉たち
私はいつも読書をするときに付箋を使います。好きな台詞、言葉、描写などを見つけると付箋をつけて、記録するんです。そしたら記録を見た時にその本のストーリーや好きだったところ。なんなら読んでいたころの自分のことまで思い出すことができるからね。
ここから記録を始めるよ。
「安藤っていうんです。アン、ドゥ、で、次がトロワ。フランス語で、いち、にい、さん、のことです。」
p.24
どうやら安藤さんは、ずっとそのことを言いたかったのに、いざ話をしようとすると、どう言っていいものか声を詰まらせていたのだという。マダムと同じで「むずかしい人」なのだ。
p.67
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ヘンテコで不器用な人や言葉がたくさん散りばめられてるのが吉田篤弘さんの小説の魅力。
ひとつだけ確かなのは、映画が面白ければポップコーンもおいしいし、ポップコーンが味気ないと、スクリーンが途端に色を失って見える。
p.30
でも僕にしてみればその一瞬はいつでも鮮やかな一瞬で、モノクロ画面の中の彼女しか知らないのに、その一瞬だけは、明るい色とほのかな甘い匂いが横切ってゆくように思えた。
p.47
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昔の時間は今よりのんびりと太っていて、それを「時間の節約」の名のもとに、ずいぶん削らせてしまったのが、今の時間のように思える。さまざまな利器が文字どおり時間を削り、いちおう何かを短縮したことになっているものの、あらためて考えてみると、削られたものは、のんびりした「時間」そのものに違いない。
p.50
その「誰か」をできるだけ笑顔の方に近づけることーそれが仕事の正体ではないか。どんな職種であれ、それが仕事と呼ばれるものであれば、それはいつでも人の笑顔を目ざしている。
p.142
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湯気の中にどこか懐かしい「夜の香り」が漂って、外はまだ夕暮れどきなのに深夜の線路ぎわで風に吹かれながら食べている感じがした。
p.77
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「もちろんわかりますよ。女のひとは男のひとの手ばかり見ているんですから」
p.269
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この本を読み終わって。
この人の小説って何か大事件が起きるわけでもないから、人に薦めたいってなったとき「どんなところが好き」って伝えるのに苦労したけど、一番どこが好きって、不器用で生きづらそうだけど、あったかい登場人物たちだなって思った。
美味しそうな匂い、湯気、煙と音。想像力をかきたてる表現たちも大好き。
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(しょっちゅう居らんくなるのは勘弁して欲しいけど笑)
いつも新しい景色や発見が待ってるんだもんね。
迷子って、手軽な冒険の旅みたいなもんだもんね。
自信をもって迷っているので、たぶん不安もないのだろう。もしかすると、不安さえなければ迷子は案外楽しいのかもしれない
p.151
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