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第52話 ここでもコンプレックス

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模擬試験をどんどん解いていく日々が、また来ていました。
解いては振り返り、解説を繰り返すのです。

養護学校育ちの私です。進学校ではありません。超スローペースの温室育ちです。
今思えばですが、確実に自分の糧になりましたね。あれが専門学校というものなのだ!という経験と病気の体でついて行く自信です。

そんな生活の中、ニットのワンピースで体の曲線を露わにしている、堂々とした同級生がいました。
管が3本ある私には、絶対に着こなせない服です。憧れと、心を抉られる思いをしていました。

その女の子が心臓が悪いと言っていて、お尻に注射してきたんだよ。と男の子の同級生に話していました。
そこで私に話を向けられました。
「本当にそうなの?!」
「そうなんじゃない?心臓の悪い人は痩せてないといけないし。」
と知ってるのは、それくらいしか無いので言ってみました。

女の子に同情する訳でも、庇う訳でも無いですが、知ってるのはそれくらいでしたから。
ただ私が知っている心臓病の人は、体脂肪率1桁とかです。それくらいの痩せようじゃないと、心臓を保てない事(脂肪細胞にも血液を送るのは負担)です。

私が見たところ、その女の子は1桁には見えませんでしたが、それを言う必要は無いですから。
そこまでの重症な心臓病ではなく、普通校に居られるくらいという事でしょうし。

オルラヤホワイトレースの花と種
ひっつき虫みたいな種なのを初めて見ました!

いくら目の前でしなやかな曲線美と、私には無い長身を見せていても、心を平常心に保たないと教室に居られません。

何度も何度も、そんな試練は続きます。そのままの自分を受け入れろ!!と言わんばかりの現実です。
でも、下を向いてる暇は無いです。自分の心を封じ込め、ひたすらに模擬試験を解いていきます。
そちらに集中する事こそが、自分の見る方向を変えさせていたんです。

腕には傷があり、人工血管まで入っている。薬だけで管理できるのが、羨ましかった。心に深い影ができます。その女の子が眩しかった。
(現在、透析しながら書いていますが、血圧が192までありました。どれだけの思いで書いているか、お察し下さい)

自信をつけながら生きていても、一方で心を抉られる現実もある。その子に負けたくないとか、そんなものじゃないんです。
私は私!!他の誰でもない私!19年間で獲てきた心は、そんな事で揺るがない!!!

どれだけ現実は重くて辛くても、泣き言は言いたくない。もっと辛いのは、19歳まで生きれなかった子達だろう!
私は知ってるんだから。


道を歩いてきた、その自信は自分だけだね。
今は横も見なくていいよ。
あなたは素晴らしい。

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