2023秋の共産党⑥~10中総の大会決議案・田村報告を聞いて【2】~

野党共闘への固執と野党連合政権への言及無し。野党共闘の成果を感じるのは東京都議選くらい。それは東京の運動における共産党の変化というのもあると思う。国政選挙については、共闘野党が勝った選挙区って地域事情や甘利氏のような特殊選挙区、安住氏のような選挙に強い人。そんな選挙に強いと言われ、共産党に選挙協力を迫っていた小沢一郎や中村喜四郎といった旧田中派金権政治家は小選挙区で落選。共闘で選挙をやるたびに議席は減っているし、比例で伸びない。「野党共闘で政権交代をめざす共産党」というのが支持されないという総括にならないか?

確かに、最初の野党共闘選挙は躍進につながった。それは、政権合意のない選挙協力はしないと護憲派の野党結集を求める市民グループに回答していた共産党が、集団的自衛権行使容認の安保法制に反対する運動を背景に、安保法制廃止の一点で野党共闘しようと呼びかけたという「ギャップ」効果。広い国民的広がりというより、左派内での票獲得が要因で、消費期限の時期がすぐれば思い通りにいかないのは明らかだ。次はどのような野党共闘でいくか。それが示せないのは、「共産党」とは拒否と連合から言われ続けるからだろう。再構築をめざすと固執する理由は何か。この道しかないと政党の自主性を捨てたかのような宣言にも聞こえる。日本共産党の値打ちを訴えるとかどこに行ったのか。党勢・財政的に300の小選挙区での戦い方としての野党共闘なのか。野党共闘の再構築をめざすという手前、小選挙区にどう挑むのか、具体性が無い。

一方で野党連合政権への記述がなくなった。つまり、政権交代をめざすなんて共産党候補者からは聞かなくなる。これによって、共産党への警戒が薄まる可能性もある。ある意味、削除した田村ツイートが現実的になった。この点を幹部会報告で触れていなかった。書いてないことだからと言って触れなくていいのか。あれだけ政権交代と10議席足らずの政党が言う虚しさに対する、総括がなくても許される政党というのは組織としてどうなのだろうか。このままでは共産党の押し出しがブレてしまうのでは。党員や候補者が過去の方針のまま政権交代を言うのか、あえて言わないのか。バラバラな主張を防ぐためにも民主集中制は多数者の結集のために必要だなんて言っておきながら、この点はだんまり。やっぱり共産党の原則はご都合主義か?

選挙方針。党大会2~3年に1回開かれる。任期満了まで2年となった衆院の総選挙について。地方選では、2024年沖縄県議選、2025年の都議選、都知事選を全党で戦うと言及。それ以外の中間地方選は?2025年参院選は?総選挙が岸田内閣の支持率低迷のもと、すぐに実施されない状況で、総選挙のみに言及することは、国政選挙での「比例を軸」にした選挙活動と選挙区選挙での躍進を図るためにどのような活動を強化するか具体性に乏しい。これは、結果の出ない党勢拡大と除名党員への反撃に力を入れすぎた結果か。それとも、新党幹部人事、総選挙結果をもって参院比例などの方針を出すという事か。無策なのか見定め中なのか。言及があった方が良いと思われる。個人的には岸田総理が起死回生のため、改憲・衆参同時選をしかけてこないか警戒している。そういった懸念は共産党はもっていないのか。(続)



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