〔介護を学ぶ22〕「ころんでケガをした」は介護の前兆
◆「介護」の2つの条件
日本は「一億総介護時代」に突入したといわれます。
これは大変恵まれたことです。
「介護」は、先進国の特権と言えるのではないでしょうか。
「介護」ができるには、2つの必要条件があります。
1つは、介護が必要な年齢まで長生きすることです。
昔の子どもは、こう嘆いていました。
“親孝行 したい時に 親はなし”
60歳で定年を迎え、65~70歳で脳卒中で亡くなるため、
介護が必要な年まで長生きできる人は少数でした。
最近は平均寿命も健康寿命も延び、
75歳でもシャキッとしている人も珍しくありません。
“親孝行 したい時に 親がいる”
これ以上の幸せはないでしょう。
「介護」できるもう1つの条件は、「介護力」があることです。
発展途上国では、たとえ80歳で介護が必要な年齢まで長生きできた人がいても、家族が生きていくのに精一杯なら、「介護」はできないでしょう。
経済と福祉の面で先進国である、日本のこの時代に生を受けたことを喜ばずにおれません。
◆介護は突然ではない
「介護は突然始まる」と言われますが、ある程度予期できます。
自宅で転んで、すねやうでの皮膚がずるむけになり、
皮膚科を受診する高齢者があります。
「転んでケガをした」
これが介護の前兆です。
「たまたま転んだのだろう」と軽視しがちですが、
「転んでケガをする」は、加齢にともなう衰弱の重要なサインです。
転んだ理由は「じゅうたんのへりや敷居でつまずいた」
「床に置いていたものに足が引っかかった」などです。
若い人は、それくらいの出っ張りに足を引っかけません。
たとえ足を引っかけても、ヒラリと身をかわして転びません。
たとえ転んだとしても、うまく丸まってショックをやわらげ、
ケガをしません。
「転んでケガをした」は、若い人にはめったにないことです。
この高齢者は、そのあと、どうなるのでしょうか。
「転んでケガをする」は、1回では済まず、
2回目、3回目の転倒がおきます。
そして、転倒→骨折→寝たきりになりかねません。
「転倒・骨折」は、介護の原因の4番目です。
突然始まる介護にも、前兆があります。
その一つが「転んでケガをした」ではないでしょうか。
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