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元気のない時は薬の王様「補中益気湯」

◆薬の王様

東洋医学では、生命エネルギーを「気」と言います。
元気の「気」、気力の「気」、やる気の「気」のことであり、
「よっしゃー!やるぞーっ」というパワーを「気」と言います。

疲れ、寝不足、ストレス、風邪、病気などによって「気」が低下した状態を「気虚ききょ」と言います。
気を補う漢方薬の代表が「補中益気湯ほちゅうえっきとう」です。

補中益気湯は別名「医王湯いおうとう」と言われますが、
漢方薬の王様という意味でしょう。
最もよく使われる漢方薬であり、
私自身もも20年以上お世話になっています。

漢方薬は体質によって薬が選ばれますが、
補中益気湯は、胃腸が弱い虚弱体質の人に持ってこいの薬です。
じつに多くの薬効があります。

◆男性更年期障害

男性更年期障害では、テストステロンという男性ホルモンが低下しており、生命エネルギーが枯渇した気虚の一種と言えるでしょう。

男性更年期障害の患者さんに投与したところ、テストステロンが増加し、
ストレスホルモンのコルチゾールが減少したというデータがあります。
その他、性機能障害や男性不妊症にも用いられます。

◆元気がないとき

「体がだるくて疲れがとれない」「気力が出ない」「食後に眠くてたまらない」「動作が鈍い」「話し方に力がない」「目に勢いがない」など、
栄養ドリンクを飲みたいときに最適です。

◆胃腸が弱っているとき

「食欲がない」「胃がもたれる」「食事がおいしくない」「味が分からない」「熱いものを好む」「冷たいものを飲むと下痢をする」「胃がちゃぽん、ちゃぽんする」など、胃腸に自信がない人にいいでしょう。
補中益気湯の「中」は、胃腸を指します。

◆免疫を高める

補中益気湯は、NK細胞を活性化させ、免疫を高めます。
NK細胞には、ウイルスやがん細胞をやっつける働きがあります。

毎日、体では5000個のがん細胞ができていると言われていますが、
がんにならないのは、NK細胞がせっせとやっつけてくれているからです。
実験によると、子宮内膜のがん、乳がん、胆道系のがんに対する抑制作用がありました。

◆病院がお得

補中益気湯はドラッグストアやネットで購入することもできますが、
医療機関で処方してもらうと経済的です。

ツムラという会社の補中益気湯を比較してみました。
ネットの市販薬は、病院の薬と比べて薬の成分が半分しか入っておらず、
価格はほぼ同じでした。
医療機関の場合、さらに保険が効くのでお得です。

参考文献
1)堀江重郎:『LOH症候群』,角川新書,2021
2)稲木一元:『臨床医のための漢方薬概論』,南山堂,2014

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