〔介護を学ぶ5〕父の介護をする母はスゴイ!
惣子さんのお父さんは、脳梗塞で右半身マヒになってしまいました。
年末、実家に帰った日の真夜中のこと。
便臭で目が覚めた惣子さん。
様子を見に行くと、父が粗相した便の後始末をする、母の姿がありました。
◆知らなかった
“トイレに間に合わなかったことを、娘に知られるのは屈辱だろうから、
騒がないで”
と目配りをするお母さん。
惣子「いつも粗相するの?」
母 「まさか!たまにあるくらい」
慣れた手つきで掃除をするお母さん。
惣子(そうか・・・けっこうあるんだ・・・)
思いがけない事実に、今日までを振り返りました。
そうか 知らなかった
離れて暮らしていると
大丈夫だと思いこんでしまう
電話で「どお?」と尋ねても 「何もないよ」と言うし
うのみにしては いけなかったんだよね
歳のわりに元気だと思っていた 父と母
私は知らなかっただけなんだ
黙々と糞尿の始末をするお母さんを見て、反省せずにおれませんでした。
◆お母さんってスゴイ
母の行動に対する驚きは、次第に敬意へと変わってゆきました。
汚いと思わないの?
お父さんに 腹立たないの?
お父さんが 悪いんでしょ
お母さんってスゴイなぁ
お母さんだって つらいはず
歳だし 腰も悪いし しんどいはず
私だったら「お父さんのせいだ~」とケンカになってた
お母さんでないと 介護できない
私にはムリだと思う
お母さんは やっぱりスゴイ
自分のできないことを、そつなくこなすお母さんの偉大さを、
感心せずにおれませんでした。
◆旦那を介護する日が来るんだ
掃除をしても、ニオイはなかなか取れませんでした。
そのニオイの中、惣子さんは自分の将来に思いを馳せました。
同じ立場で 私にできるかな
私のだんなが トイレに失敗して床を汚す
そんなこと 考えたことなかった。
そんな日は おそらく来る
あの人 スーパーマンじゃないし
けっこう ドジだし
私が先に介護されるか 離婚しない限り
来るんだ こんな日が
母の姿を通して、
「介護ってこうするんだ」
「自分もこうしなければならないんだ」と、
「介護」への覚悟が、少しずつついてきた惣子さんでした。
参考文献
1)上田惣子:『マンガでわかる介護入門』,大和書房,2021
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