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女性が長生きする理由と、男性が長生きするカギ

◆朝には紅顔、夕には白骨

有名な古典の言葉です。

「朝には紅顔こうがんありて、夕には白骨となれる身なり」

(訳:朝、元気だった人が、夕方には、変わり果てた姿になって帰ってくることもある。)

この古典には、どんないわれがあるのでしょうか。

室町時代のことです。
青木民部みんぶという武士には17歳の美しい一人娘がいました。
位の高い武家との縁談が調ったので、民部は喜んで、家財を売り払って、
嫁入り道具をそろえました。
一日千秋の思いで娘の嫁入りを待ち望んでいましたが、
娘さんは、結婚式の当日に急病で亡くなってしまいました。
骨壺に収まった娘の白骨を抱き、民部は号泣しました。
「これが待ちに待った娘の嫁入り姿か」

こんな出来事をきっかけに、蓮如上人れんにょしょうにんが書かれたのが『白骨の章』です。
その中の一文が
「朝には紅顔こうがんありて、夕には白骨となれる身なり」です。

◆明日の命は保証できない

肉親や友人・知人と、突然の死別をしたことはありませんか。

「死なんて、先のことだから、今日や明日は大丈夫」
と、私たちは思いがちです。
本当にそうでしょうか。

朝、私達は「行ってきま~す」と出かけます。
「行ってきます」とは、「行って、来ます」ということであり、
「行って、帰って来ます」という意味です。

「行きま~す」と言って出かける人はいません。
帰ってくるつもりで出かけます。
しかし、行ったきりで、帰ってこれない人があります。

朝は血色のいい「紅顔」で家を出た人が、
夕方に変わり果てた姿、「白骨」となってしまうことがあります。
まさに「一寸先は闇」であり、明日の命は誰も保証してくれません。

◆女性の長生きの理由

「朝は元気なのに、夕には帰らぬ人」の代表的な病気が
心筋梗塞と脳卒中です。
心臓や脳の血管がトラブルを起こすと、
一瞬にして人生が終わってしまいます。

「心筋梗塞」「脳卒中」と聞くと、男性に多いと思われがちです。
統計によると、その人数に男女差はなく、
異なるのは、病気になる年齢です。

男性は60歳を過ぎると増え始め、80歳がピークです。
それに対しては女性は、70歳で増え始め、ピークは85歳です。
これが、女性が男性より6年長生きする理由でしょう。

女性は男性に比べ、心筋梗塞や脳卒中になる時期が遅いのが分かります。
なぜでしょうか。

◆男性長生きのカギはテストステロン

女性が病気になりにくい理由は、女性ホルモンにあります。

男性ホルモン(テストステロン)と女性ホルモン(エストロゲン)には、
血管をすべすべにする働きがあります。

そのため、これらのホルモンが豊富に分泌されているうちは、
心筋梗塞や脳卒中になりにくいのです。

両ホルモンを比較すると、
女性ホルモン(エストロゲン)の方が「血管すべすべ作用」が強いのです。
女性は50歳前後で女性ホルモンが枯渇しますが、
それまでに浴びた女性ホルモンの影響が強烈なため、
血管すべすべが長持ちするのです。

男性ホルモンは、早い人は40歳を過ぎると減ってくるため、
女性よりも早く心筋梗塞や脳卒中になるのです。

男性が長生きするには、男性ホルモン(テストステロン)をいかに低下させないかがカギとなるでしょう。

そのために今日できることは、ストレスを減らす。
つまり、イヤなことの断捨離(意識を向けない、忘れる)でしょう。
そして、筋トレです。
筋トレでテストステロンを増やしましょう。

参考文献
1)堀江重郎:『LOH症候群』,角川新書,2021
2)熊本悦明:『男はなぜ女より短命か』,実業之日本社,2013

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