見出し画像

40歳過ぎたら、運動して認知症対策しよう

◆認知症の原因はアミロイドβの蓄積

介護の要因のトップは認知症です。

認知症は、2020年に630万人と言われ、
その68%がアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβという物質がたまることにより発症すると言われています。

その発症のメカニズムに迫ったのが、
ワシントン大学のDIAN(ダイアン)研究です。
遺伝性アルツハイマー病の人を対象に、脳のアミロイドβの蓄積量、
脳の海馬の大きさ、認知機能を調べました。
その結果、驚くべき事実が判明しました。

◆発症の25年前から病気は始まっていた

注目すべき発見は、アミロイドβは、発症の25年前から脳脊髄液に増え始め、15年前から脳の中に蓄積を始め、発症のときにはすでに脳内での蓄積が終わっていたことです。

①発症の25年前:脳脊髄液にアミロイドβが増え始める。
②発症の15年前:脳の中にアミロイドβが蓄積し始める。
③発症の10年前:記憶をつかさどる海馬が萎縮し始める。
④発症の5年前:もの忘れなど、認知機能の低下が始まる。
発症時:脳のアミロイドβの蓄積がピークとなる。記憶力が低下する。
発症後:徐々に判断力や理解力が低下し、意思疎通が困難になり、
 10年後には多くの人が寝たきりになる。

研究にたずさわったモリス教授はこう言います。
「発症25年前から発症後10年まで、合計35年かけて進行するのがアルツハイマー型認知症です。40~50代に最初の変化が始まっていたと考えられます。

私たちがアルツハイマー型認知症と思っているのは、
病気全体でみると終盤を見ているにすぎません。
アルツハイマー型認知症の初期と考えられる「軽度認知障害(MCI)」でさえも、すでに病気の半分以上が経過しているのです。

◆筋肉・骨量低下 → 転倒 → 骨折 → 寝たきり

筋肉や骨は、20歳頃をピークに徐々に衰えてきます。
加齢により、筋肉の量が減り、力が弱くなります。
骨はスカスカになり、もろくなります。

転んで骨折したのがきっかけで、寝たきりになるのが、
介護の要因の4番目です。
たまたまつまずいて転んだのではありません。
加齢により筋力が弱くなったため転んだのであり、
骨がもろかったため骨折したのです。
起こるべくして起きた「寝たきり」でしょう。

◆最大の予防は運動習慣

認知症による寝たきりも、たまたま認知症になったのでなく、
25年前からの蓄積によります。


では、どうすればアミロイドβの増加を防ぐことができるのでしょうか。
特効薬が開発されていない今、最大の予防は「歩く習慣」でしょう。
有酸素運動で脳の血流を良くし、アミロイドβをデトックスしましょう。

デトックスとは、体に溜まった有害物質を出すことをいいますが、
アミロイドβのデトックスは40歳から始めても、決して早くはありません。
「歩き友だちを見つける」「運動教室に入る」など、
運動を習慣化することは、25年後の自分への投資になるでしょう。

参考文献
青柳由則:『認知症は早期発見で予防できる』, 文藝春秋,2016

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?