笑顔の大将が握った寿司はおいしい
◆それとこれとは話が別
子どもが「お願い きいてくれる?」とニヤニヤ笑顔で寄ってくる。
お母さんが「いいわよ、どうしたの?」と聞くと、
「ゲーム買って~」とねだる。
「ゲームはダメと言っているでしょ。ニコニコしてもダメ。それとこれとは話が別!」
良くある母と子の会話です。
「話が別」と言った「それ」と「これ」とは何でしょう。
「それ」は「ニコニコ顔」であり、
「これ」は「ゲームを買うこと」でしょう。
いくらニコニコしても、ゲームは買わない、ということです。
本当に「それ」と「これ」とは、別の話なのでしょうか。
◆「これ」は「それ」に影響を受ける
「人の感情は直前に見たものに影響を受ける」
これを「感情誤帰属」と言います。
こんな実験があります。
実験に協力してくれる人(被検者)にあるものを見せて評価してもらいます。
その前に、「かわいい赤ちゃんの写真」や「ゴキブリの写真」を一瞬だけ見せます。
被検者には、「今の写真は無視してください」と言うのですが、
いくら無視しようとしても、事前に見せた写真が、
後の評価に影響してしまう(=誤帰属)のです。
「かわいい赤ちゃんの写真」を一瞬見た人は、
その後、見たものを高く評価しました。
「ゴキブリの写真」を見た人は、
その後、見たものに対する評価が下がりました。
笑顔で寄ってきた子どもの「ニコニコ顔」は、
その後の「交渉」に影響を与えるのです。
その手には乗らないぞと思っても、「その手」に影響を受けてしまいます。
◆笑顔は布施
笑顔を交渉のための「こびへつらい」に使うのはどうかと思いますが、
笑顔は決して策略ではなく、布施(施し)でしょう。
“笑顔の大将が握った寿司はおいしい”
“ニコニコの店員さんの勧める商品は買いたくなる”
笑顔して損することは一つもありません。
周囲にニコニコを振りまこうではありませんか。
参考文献
守 秀子:「「笑う門には福来る」表情フィードバック仮説とその実験的検証 」,文化学園長野専門学校 研究紀要 第 5 号: 61-66, 2013
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?