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エフォートレス思考



全体的に面白いですが、特に「第10章PACE:早く着くためにゆっくり進む」の中で、スコット隊とアムンセン隊の南極到達レースの話が心に沁みます。

一つのチームの日記には次のように記されています。
「我々の天候の不運は、誠に不合理だ。先に旅立った者たちは天候に恵まれていたことでしょうし、その事実に苦々しさを感じざるを得ません。」「このような天候下で旅を続ける人々は一体どこにいるのでしょうか?」
彼らの苦悩する旅路が伝わってきます。

もう一つのチームの日記には次のように書かれています。
「吹雪に見舞われ、つらい1日でした。それでも13マイル進み、目標に近づきました。」困難な旅であることは間違いありませんが、こちらからは前向きな気持ちが伝わってきます。

 実は、これらはほぼ同じ日程で開始された南極点到達レースの日記なのです。同じ経路を辿りながらも、受ける印象は大きく異なるのはなぜでしょうか?

その違いは進行するペースにあります。

 スコット隊は天気の良い日には無理やりぶっ飛ばして進行し、悪天候の日にはテントに籠りましました。
 一方、アムンセン隊は天気が良い日も悪い日も、そしてゴール直前の日でも、きっちりと15マイルだけ進みました。

ほんのわずかな心がけの違いで、同じ経路を進むにも関わらず、アムンセン隊は気持ちよく南極点に到達し、帰還することができたのです。

 毎日コツコツと努力することの重要性はよく言われますが、「一気にやるか全く手をつけない」ということは、メンタル面にも良くないようです。この点は見落とされがちです。

実際、私自身も英語学習に何度も挑戦し、何度も挫折してきました。調子の悪い日に全く手をつけずに「後でまとめてやろう」と後回しにして結局できず、結果的に落ち込むことがよくあったのです。

その後、アムンセン隊は(彼ら自身の言葉を借りれば)「大した苦労もなく」帰還しましたが、残念ながらスコット隊のメンバーは誰も帰還することができなかったそうです。

私も「調子の良い日にまとめて手をつける」という考えを捨て、やりたいことは毎日少しでも着手することを心がけるつもりです。

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