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「全員採用」とはなんなのか。1年経って概念をアップデートした話。

こんにちは!Gaudiy(ガウディ)のCorporate Successチームで、採用・PRを中心に担当しているやまもと(@hanahanayaman)です。

Gaudiy Advent Calendar 2022」の1日目を担当します。意外(?)にもアドベントカレンダーに参加するのは人生初です。「今年は会社のメンバーも増えたし、アドカレやってみるか〜」と有志で募ったところ、カレンダー開設2日目にして全日程が埋まりました。みんなの発信がたのしみです!

これから色んな発信があるよ〜〜

さて。トップバッターでなに書こうかな〜と考えたのですが、2022年の個人的ハイライトはやはり「採用」かと思うので、そのテーマで書いてみます。

最初にサマっちゃうと、こちらの話です。

「全員採用」「全社採用」「スクラム採用」など呼ばれ方はさまざまあると思いますが、「みんなで採用活動していこうぜ!」という文脈での「全員採用」って結局なんだっけ? という話。その定義をし直したので、スタートアップで採用に関わる方々のご参考になれば嬉しいです。

「全員採用」を掲げてきたなかでのモヤ

およそ1年前、こんなnoteを書きました。

2021年にGaudiyに入社して以来、ずっと社内に伝え続けてきたことは「採用を人事の仕事にしない」ということ。

その理由は上記noteに書いたので、よければ読んでみていただきたいのですが、一部抜粋するとこういうことだと思ってます。

採用を現場主体にすることで、候補者の解像度があがり、事業や組織状況の変化にも柔軟に対応できる。また全員が採用活動に参加すれば、人事だけではリーチできない候補者との接点ができたり、人事だけでは伝えきれない魅力を伝えたりもできる。だから「採用を人事の仕事にすべきでない」というのが私の結論です。(過去noteより

個人的には「人事が現場をいかに巻き込むか」みたいな話は好きではなくて、むしろ「現場が人事を巻き込みながら採用していく」のが理想だと思っています。(ちなみに便宜的に使ってますが「人事」と「現場」みたいな分け方も好きじゃないです。「人事 vs 現場」みたいな構造が生まれやすい一因になっていると思います。)

このような考えで、人事側は「みんなが採用に参加しやすい仕組みづくり」を意識しつつ、エンジニア主導でスカウト運用の改善をしたり、プロダクトに関わるメンバー全員でTech Blogを運用したりと、GaudiyのカルチャーであるDAO(自律分散)的な採用活動を行ってきました。(以下のブログでも公開しているので、よければご参考ください。)

ほぼゼロからのスタートでしたが、こうした地道な採用活動が少しずつ実を結び、フルタイムの社員数はこの1年で23名(昨年末時点)から50名(2022/12/1時点)にまで増えています。(業務委託の方を含めると、同期間で40名→75名ほどになっています。)

一方、組織が拡大していく中で、少しずつ「全員採用」に対するモヤが生まれてきたのも事実です。

「採用は全員の仕事である」という概念は共通認識としてある。けれども、全員がオーナーシップをもつフラットな組織構造であったがゆえに、特に人数の多い開発チームにおいて、以下のような課題が徐々に生じてきました。

・実行責任を持つ人が明確でないために、任意の活動になってしまい、人によってはスカウトやTech Blogの運用が止まりがちになっている。
・採用ペルソナを一度決めたきり、アップデートが適切に行われていない
・イベントの登壇などチーム全体に呼びかけても意思決定する人がいない
・一部メンバーに採用活動の負担が偏っているが、開発チーム内での共通認識になっておらず、開発工数との兼ね合いでリソースが確保しづらい
・全員がスカウトに関わるフローになっていることから、体制がボトルネックになって採用媒体が増やせない

これは採用に限らず、Gaudiyの「DAO的な組織」に共通する課題でもありました。役割と責任の所在が不明瞭なことによってボールが落ちる。全員の仕事だとはわかっているけど、業務が忙しくて採用のための時間が取りづらい。改善したいけれど、全員採用って何をすればいいんだっけ…?

そんなモヤモヤが、徐々に大きくなってきたように思います。

「全員採用」って結局なんなの?

そこで「全員採用」の概念を、改めて定義し直すことにしました。

🙅‍♀️「全員採用」=「全員がすべての採用活動に参加すること」
🙆‍♀️「全員採用」=「全員が最高の仲間集めにコミットすること」

実際に社内共有したNotionのメモをそのまま貼ります。

「全員採用」のワードでよく誤解しがちなのは、「全員でスカウトする」「全員がブログを書く」といった「全員で〇〇する」という "行為" に主眼を置いてしまうことだと思います。

正直にいうと、私自身、その意味合いで「全員採用」というワードを使っていることが多々ありました。「スカウトを人事任せにせず、自ら書く」「発信を他人任せにせず、個々人がブログを書いてSNSで拡散する」などの自律的な採用活動は、もちろんとても大切なことだと考えています。

ですが、これらはあくまで手段です。本来めざすべき「全員採用」とは「全員が最高の仲間集めにコミットすること」であり、大事なのは "手段" ではなく "アウトカム(成果)"です。

なので、たとえば全員がスカウト運用に時間を割くよりも、そこは一部の人に任せて他の人はリファラルなどの活動に時間を投じた方が採用のアウトカムが高まるのであれば、そちらに工数を使うべきだと思います。

プロダクト開発と同じように、採用においても「全員が採用のアウトカム最大化にコミットする。その手段は、状況に応じて適宜見直していこう。」ということを改めて言語化しました。

真の「全員採用」に移行するためにやったこと

ここからは、前述の「全員採用」を実現するためにやったことを簡単にお伝えします。

1. 定義を周知すること

まずは、定義を全体に周知すること。採用に関わりの深いエンジニアメンバーにレビューをもらった上で、開発チームに展開し、その後、全社へと段階的に伝えていきました。

ちょっと脱線しますが、この「周知する」って簡単なようで難しいことだなと最近よく感じます。「伝える」「伝わる」「実行できる」は全然違うので、ここは場面を変えながら繰り返し伝えていかねばなと思っています。

話を戻すと、文化をつくるには初期のスタンスのセットがとても重要だと思っているので、全社に対しては「テキスト(=採用月報)」と「口頭(=全社定例)」の両方で伝えました。また、新しいメンバーに対しては、正式入社時(お試し期間終了時)のガイダンスで必ずお伝えしています。

DAO的な採用活動について。正式入社時のガイダンスに入れてます。

2. 採用責任者を明確にすること

次にしたのは、職能ごとの採用責任者の任命です。これは、全社的な「DAO的な組織」をアップデートする動きがあったので、それに伴う形で進めていきました。(話すと長くなるのでいつか別のコンテンツで。)

簡単にいうと、それまで曖昧になっていた役割と責任領域を明確にする動きが全社的にあり、各職能の代表者が採用責任者を任命することで、意思決定のオーナーを明確にしました

3. 関係者の役割を明確にすること

さらに、Devチームにおいては関係者が多いため、HR、Devチームの採用責任者、Devのメンバーの3者における役割を明確にしました。

(CRS=Corporate Successの略です。HRと読み替えてください。)

実際の役割分担。あくまで現時点。

採用のアウトカムを出すための「全員採用」の体制づくりにおいて、どこに誰のリソースを張るべきかをチームで議論した結果、現在は上図のようになっています。この辺りは、会社ごとの採用戦略やリソースによって最適な形は変わってくると思うので、あくまで一例としてご参考ください。

4. 会議体を再整備すること

これまでも定例の会議体はありましたが、参加者や目的を再整備しました。

また開発横断定例については新たに設置しました。職種別定例で都度PDCAを回すだけでなく、横串で組織計画を見直したり、課題感を共有する場を設けました。(まだ走り出したばかりなので変更の可能性は大いにあります)

実際の会議体。あくまで現時点。

実際にどんな変化が起きているのか

こうして「全員採用」を再定義し、体制を再構築してからまだ数週間しか経っていませんが、責任者が明確になったことで採用活動が以前よりもスムーズになり、より活発になってきました。

Devチームの採用責任者になったメンバーが、早速カンファレンス登壇のスライドや動画の制作をしてくれたり、採用イベントの企画案を考えてくれたり、リファラル促進に向けた動きなども始まっていて、アウトカムにつながる「全員採用」に向けて良いスタートを切れているかなと思います。

これまでの全員採用、これからの全員採用

これまでもこれからも「採用は全員の仕事」だということに変わりはありません。最高の仲間を集めることに全員がコミットする。

では、これまでの全員採用と、これからの全員採用の違いはなにか。それは採用のアウトカムを最大化するための「手段」の違いだと考えています。

これまでの「全員採用」は、組織の規模が小さかったために、全員があらゆる採用活動にコミットすることが有効な手段でした。ですが、組織が大きくなり認知負荷が高くなってきたことで、一部の活動を集約させたり、役割を分担した方が全体の推進力が上がり、採用のアウトカムが大きくなるという変化が起きているのだと思います。

そして、その手段は、今後も状況によって変わり得ます。「全員が最高の仲間集めにコミットする」という採用への意識はあっても、そのための手段がわからなかったり、仕組みがないと全員採用は実現できません。

HRの役割を担っている者としては、全員採用のカルチャーを守り、そのための仕組みを今後もアップデートし続けていきたいと思っています。

さいごに告知

ちょうど昨日、全社向けにシリーズCに向けたプロダクトとファイナンスの戦略共有がありました。

まだ表立って言えないですが、めちゃくちゃワクワクする案件が来年も目白押しです。かつ、プロダクト戦略においては大きな舵切りをしていきます。

そんななか、組織としてはなる早でいまの倍にあたる100名規模まで拡大していきます。いまの2倍、3倍速に採用のスピードを上げながら、カルチャーの強い組織をつくっていく必要があります。

まだまだ理想とする「全員採用」ができているとは自信をもって言えないですし、伸びしろだらけですが、だからこそやりがいもMAXです。

…ということで。

全方位的に採用してますが、わたしと一緒に採用にコミットしてくれる方も絶賛募集しています!!人事でも他職種でも、思想に共感してくれる人いましたらぜひお話しさせてください。(TwitterYOUTRUSTなどよければ🤲)

はい。そんな感じでアドベントカレンダー初日は終わりとさせていただきます。明日はkeiさん(@kei32bit)が出してくれますのでお楽しみに〜!🎄

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!