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SELECKが大切にしている「再現性」と「先進性」のお話

みなさま、こんにちは! SELECK編集長のやまもと(@hanahanayaman)です。

SELECK編集部マガジンをnoteで立ち上げて、早3ヶ月。取材の裏側をお伝えする「取材後記」をメインに、特集企画の制作プロセスや、私の編集を公開する鬼の文章教室(笑)など、合計19本の記事を発信してきました。

取材後記では、いつも「なぜこの事例を取材したか」という背景を、取材担当の編集者目線からお伝えするようにしていますが、そもそもSELECKで大切にしている「取材基準」をきちんとお伝えしていなかったなと。

そこで今回は、SELECKがリリース当初から守り続けてきた「再現性」と「先進性」のお話をしようと思います。

主に広報の方々に向けて書いていますが、私たちが大切にしていることを伝えていますので、SELECKの読者さんにも知っていただけると嬉しいです。

なぜ「取材基準」を伝えようと思ったのか

本論に入る前に、まずはこのnoteを書こうと思った背景から。

こちらのnoteは、主に「自社の取り組みをSELECKにご紹介くださる広報の方々」に向けて書いています。

SELECKは2015年5月にリリースされ、IT・ベンチャー界隈を中心に、これまで700社を超える企業様に取材させていただきました。読者の方々や、良質な事例をご提供くださる取材先の方々に支えられて、メディアとしてある程度の認知を得られてきたと思っています。

そしてありがたいことに、最近では取材依頼をいただくことが多くなってきたのですが、同時にSELECKの媒体基準と合致しないご依頼もわりと増えてきたな、と感じています。

これはメディアとして、どういう基準で取材を選定し、記事制作を行っているかをきちんと伝えられていないことに原因があると思うんですね。

特にSELECKは、大変恐縮ながら、こだわりがかなり強いです(笑)

なので、何にこだわっているのか、どういう事例だったら取り上げられる可能性があるのかを、このnoteで明確にお伝えできればなと思っています。

SELECKのビジョンと「2つの取材基準」

「現場の事例から学べるビジネスメディア」であるSELECKは、「現場のナレッジシェア」をコンセプトとして、以下のビジョンを掲げています。

「ビジネスの現場に眠る『知』を世の中の共有資産とし、現場の課題解決を促進することで、ええ会社づくりの起点となるチームや人を増やす」

※この辺りの「SELECKがめざす世界観」については、以下のnoteに詳しく書いていますので、ご一読いただけると理解しやすいかと思います。

ビジネス現場の課題解決を促進する上で大切にしているのが、「事例(=実践知)の共有」です。そのため、まず前提として「サービスをローンチしました」「こういう書籍を出しました」といったニュースは扱っていません。

また、「この理論や方法だとうまくいきます」といった「思想だけ」のインタビューもしていません。あくまで「実践のプロセスやそこで得られた知見」をシェアすることが、SELECKの使命だと考えています。

その上で大切にしている取材基準が2つ。それが「再現性」「先進性」です。では、それぞれ詳しくお伝えさせていただきます。

「再現性」とはなにか?

まずは「再現性」について。これは、言い換えると「他社が真似できる/参考になるような、体系的な取り組みかどうか」という視点です。

たとえば「たったの3ヶ月で、売上が昨対比4倍になった事例」があったとします。成果が出ていて素晴らしい事例なのですが、取り組みのプロセスが体系化されているかどうか? が取材の判断基準になります。

「たったの3ヶ月で、売上が昨対比4倍になった事例」

OK例)営業のボトルネックを洗い出し、それに対する施策を立案・実行した結果、成約が伸びた(セールス・イネーブルメントの事例)
NG例)めちゃくちゃ優秀なセールスを採用したことで、成約が伸びた

上記の例でいえば「めちゃくちゃ優秀なセールスを採用したことで、成約が伸びた」だけだと、読者(=他社)の方々が参考にできないですよね。

※補足すると、もしトップセールスマンの採用手法に関する体系的な取り組みがあれば、話は別です。(その場合、テーマは「営業」ではなく「採用」になります。)

また同じ理由で、「その企業・サービスならではの事例」は取材できません。特定の業界やサービス固有の特性に依存したような事例は、他社の参考にならないのでNGにしています。あくまで「読者さんの参考になる事例か」「その対象読者がニッチすぎていないか」がポイントです。

「先進性」とはなにか?

もうひとつの視点が「先進的な事例かどうか」です。その「先進性」をもう少し言語化してみると、下記2つの観点があるかなと思っています。

① 先進的な「テーマ」を扱った事例

ひとつは「先進的なテーマ」を扱った事例です。いわゆる「トレンド」の先駆けのような取り組みを意味します。

たとえばHR界隈では、以下のようなテーマをこれまでに取材してきました。結果的に、これがHRトレンドを表しているように思います。

2016年:リファラル採用
2017年:1on1、OKR、オンボーディング 
2018年:ティール組織、EX(従業員体験)、採用マーケティング
2019年:HRBP、CX(候補者体験)、アジャイルHR、スクラム採用
2020年:前年のトレンドが継続しているような印象があります。

(もちろん、いずれも継続的に取り上げられているテーマではありますが、最初にトレンドとして出現した年としてはこんな感じかなと。)

こうしたトレンドは、解説記事などの情報は出回っても、実践をもとにした生きた情報が出てくるまでには時間がかかります。それをいち早く見つけ、SELECKを通じて発信する。これがひとつめの「先進性」の観点です。

② 既出のテーマを、先進的な「観点」で扱った事例

もうひとつは、既出のテーマを「先進的な観点」で扱った事例です。テーマとしての先進性はないけれど、新たな気づきを得られるような取り組みを意味します。

たとえば、2019年末に取材したワンキャリアさんの事例は「採用広報」であり、テーマ自体には、特に目新しさはありません。

ですが、採用広報における視点と、そのプロセスが先進的であったため、取材させていただきました。具体的には、以下のような観点です。

・採用広報は「コーポレートコミュニケーション」の一部と捉える
・「4つの主語」に分けて、なにを・どのように発信するかを整理する

上記の思想をもとに、実際に「4つの主語」からどのように発信しているのか? という具体的なプロセスがあったため、取材させていただきました。

ちょっと伝わっているか自信がないので(笑)、もうひとつ参考事例を。2019年9月に公開させていただいた、STORESさんの「リブランディング」の事例です。

リブランディングも、特にテーマ自体の新規性はないと思います。

ですが、STORESさんの場合は、一般的なセオリーとは異なる手法でリブランディングを実行されています。

●リブランディングのセオリー
→最初に「コンセプト」を定義し、それをすべてのデザインに落としていく

◎STORESさんの事例
→コンセプトという絶対的な軸ではなく、4つの「ブランドパーソナリティ」という要素を基本指針として、デザインを刷新する

つまり、トレンドのテーマかどうかに関わらず、事例(=思想+手法)としての先進性があるかどうか、が判断軸です。

ちなみに補足をしておくと、確立された手法で確実に成果を上げることは、素晴らしいことだと思っています。この軸は、取り組み自体の良し悪しではなく、読者の方々にとってより価値の高い情報はなにか? を判断するための基準です。

再現性があって他社の参考になっても、すでに情報としてありふれているような取り組みは「情報の価値」としてはどうしても下がってしまいます。

なので、「再現性」と「先進性」のいずれかだけではダメだと思っていて、どちらも兼ね備えていること。これが、SELECKの取材基準になります。

いま注目しているネタは「取材ウィッシュリスト」に

とはいえ、うちの取り組みってSELECKの基準に適っているんだろうか…? と疑問に思う方もおそらく多いですよね。

ここまでつらつらと書きましたが、具体的な内容を共有していただいた上で、壁打ちをしながらお互いの目線を合わせていくのが、結局のところ一番よいかなと思っています(笑)

ということで、「こういうネタどう?」みたいなご相談があれば、いつでもウェルカムです!

特に、取材をすると「今まで取り組んできたことが、自分の中でも言語化できました」と仰っていただくことが多々あったりします。振り返ってみると、実は「再現性」や「先進性」があったりするケースもあると思うので、ぜひお気軽にお声がけいただけたらと思います。

また、いま特にSELECK編集部が取材したいと思っているテーマについては、Trelloの取材ウィッシュリストで公開しています。

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基本的には四半期に一度、更新していますので、ぜひこちらもチェックしていただけると嬉しいです。(もちろん、再現性と先進性を満たす事例であれば、ウィッシュリストに載っていないテーマでも大丈夫です!)

ということで、今回は「SELECKの大切にしている取材基準」について、お伝えさせていただきました。

SELECKはこれからも、ビジネスの現場に眠る「知」を世の中の共有資産にすべく、コンテンツ制作と発信を続けていきたいと思います。

ご賛同いただける企業のみなさま、ぜひ御社のナレッジをご共有いただけますと幸いです!今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。(了)

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