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トパジオス島(英名・セントジョーンズ島)が歴史的産地であることに由来します。シトリンの時に書きましたが、歴史的に黄色い石がトパーズと呼ばれてきたためか、和名も「黄玉(おうぎょく)」です。

和名が黄玉ながら、よく見かけるのはやはりブルートパーズでしょう。

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ブルーは放射線照射処理をしていることが多いですが、これはコランダムやアクアマリンの加熱と同様、人間で言えばお化粧の範囲かなと思います。

処理している国によっては放射線が残っていて、ガイガーカウンターがガリガリ反応してしまうと問屋さんに聞きました。規制の厳しい米国を通ってきているものは安心だそうですが……街で買う時はわかりませんよねぇ。

トパーズはモース硬度(*1)は8あるのですが、靭性が「不可」。クリベージという割れやすい方向は1方向ですが、ちょっとぶつかっただけでもスパコ~ン!と割れる可能性があるので要注意です。

*1 モース硬度
引っかきに対する耐久性を1~10で表したもので、10がダイアモンド、9がコランダムです。大体7以上あれば安心してジュエリーに使えます。

ですので、面のあるファセットカットより、丸く仕上げてある方が安全な場合もあります。

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ころんとして可愛いでしょう?これ、爪がないんですよ。技ですね。ミラーボールみたいなカットはグリーンクォーツです。重ねづけも楽しいですね。

さて、面白系はルチルトパーズです。
スリランカのコロンネ産で12.01ct、存在感のあるサイズです。

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ルチルクォーツでしたらヒーリング系で流行ったことがあったので(以来、値段が上がりました…)知名度が高いと思いますが、トパーズに入ることもあるのですねぇ。国内のミネラルショーで見かけて、思わず買ってしまいました。

前述の通り、もともと割れやすい上に、他の鉱物が入っていると更に危険なことがあるので、すっかり観賞用です。

トパーズもパライバトルマリンのように、その名で値段が上がるものがあります。それは、インペリアルトパーズです。

トパーズの化学組成はAl2(F,OH)2SiO4。
(F,OH)とありますが、F(弗素)が優勢なものをFタイプ、OH(水酸基)が優勢なものをOHタイプと呼びます。無色やブルーはFタイプ、イエローやオレンジはOHタイプで、屈折率が少し違います。

“インペリアルトパーズ”は、レディッシュオレンジのものを言いました。
ところが、2004年から導入されたJJA(社団法人日本ジュエリー協会)とAGL(宝石鑑別団体協議会)によるルールでは、OHタイプの場合は宝石鑑別書に「別名インペリアル・トパーズと呼ばれています」と記載して良いということになりました。

これもパライバと同じく賛否両論でした。
OHタイプなら黄色いトパーズでもインペリアルになってしまうわけで、歴史的に“インペリアル”と言ってきたものと明らかに違ってしまいます。“インペリアル”と名が付くことで高く売れるから、幅を広げたよう見えます。

「綺麗なトパーズ」で良いのに。宝石の”特別な"名前は罪深いなぁ、と思うのでした。

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