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初めての”反対”討論

先日InstagramとFacebookでもお知らせした通り、今回議員になって初の反対討論を行いましたので、その内容をお知らせします。

『反対討論』とは?

反対討論とは、市議会であがった議案に対して反対の意向の場合に、他の議員へ賛同してもらうために用意されている発言の時間です。はじめに反対討論で、その後に同じ議案に対して賛成討論をする方が出てくる場合もあります。実際は討論の効果で大きく採決の結果が変わるかといったらよっぽど根回しでもしていない限り変わらないことの方が多いです。(じゃあなんでやるのか?は後述で)

反対したのはどんな議案?

第一号議案の補正予算案※に反対しました。
(※補正予算とは、本来は毎年3月に1年分の市に入ってくるお金や使うお金の予定をたてるのですが、年度の途中にも追加で大きくお金が出入りすることが決まることもあるので補正予算案という形で議会にかけられます。)
今回の補正予算は、国や県から物価高騰対策として使えるお金が入るのでそれを活用して子育て世帯や非課税世帯にお金を給付したり、給食費を無償化しますよという内容でした。
国から入ってくるお金については、『対象は指定しないけど物価高騰対策に有効に使ってください、例えば子育て世帯なら給食費の無償化とかね。』…という感じでいくつかの活用例を出したうえで、市の規模に応じたお金が入ってくるというものでした。
旭市の場合はその4億7200万円の使い道をどう決めたのかというのが注目ポイントでした。

なぜ反対したの?

今回、国から入る4億7200万円の使い道は主に物価高騰の影響を受けた子育て世帯への給付でしたが、具体的には小中学校の8か月間の給食費無償化と、未就学児への3万円の給付でした。
そこで気づいたのが…あれ?そういえば高校生は?
思えば今までも旭市独自で子育て世帯への給付が決まっても高校生が対象になることが少なかったような…
ましてや物価高騰の影響を受けているのは、教育費もさることながら一番大人に近い生活費がかかる高校生なのでは?・・・と考えだすと今回の国の交付金の使い方に疑問が晴れませんでした。
その為、しっかりと理由や根拠を提示した上で以下の通り反対討論をしました。下の内容は、ほぼ当日発言した事と同じ内容です。

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私は第一号議案 令和5年度旭市一般会計補正予算の議決について、討論をさせていただきます。

今回の補正予算案では、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増額分を活用した、市独自の子育て支援策として、学校給食費の無償化や就学前児童を対象とした給付金事業が組まれているところですが、どちらについても高校生が給付を受ける対象ではないことについて異議を申し上げたいと思います。

今回と同じ交付金を活用しての就学前児童応援臨時給付金の補正予算が令和3年11月定例会においても専決処分で提出されておりました。
その際も高校生以上を対象とする給付は検討しなかったのか、委員会にて質疑させていただきましたが、対象を未就学児に絞った当時の理由として、新型コロナウイルスが流行する中で慣れない感染対策や外出制限を強いられる、大変な状況下にある未就学児の家庭へ絞った支援としているとの回答があり、その時は理解をさせていただきました。

では、今回の交付金の目的は同じなのか、
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用することは前回と同じですが、そこから派生した電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が今回活用されるわけであり、その名称の通り、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者の支援が主たる目的となっていますので、前回とはその点が大きく変わっています。
交付金の活用推奨事業メニューのひとつとして、物価高騰に伴う子育て世帯支援があり、そのさらに一例として小中学校等の給食費の支援が例示されていたものかと思います。
そこで、子育て世帯支援とは一体何歳まで子どもを育てることへの支援なのかということですが、子供が自立するまで、せめて成人する年までの高校生世帯までをしっかりと視野に入れるべきだと考えます。
議案質疑の際にも紹介した通り、県内複数の自治体で当該交付金を活用した『高校生を含む』子供を対象とした給付金の補正予算が組まれておりますので、本市でも高校生を対象とすることももちろん不可能ではなかったはずです。

それとも、『結婚から出産子育てまで切れ目のない子育て支援を…』と旭市の総合戦略でもうたっていますが、切れ目はなくとも途中で終わるということなのでしょうか。

子育ては年齢が上がれば上がるほど支出が増えることは、国の調査からもわかっているところであり、内閣府発表の子どものいる世帯の年齢別消費支出という統計調査において食費だけ見ても15-17歳世代は0-2歳の子どもの1.6倍であることが分かります。
議案質疑の答弁にもございました『高校生を育てる親の方が年齢が上がるため、未就学児を持つ親よりも収入が高い世帯が多いと考えられる』といったことは、会社勤めで親本人の年齢が上がれば昇給等で収入があがる傾向があることは十分考えられますが、昔ながらのずっとその会社に勤め続ける、年功序列的な働き方は自営業の場合や、ましてや現代の働き方も様々ある中で、決して多くは当てはまらないものだと考えられます。
未就学児へ3万円という金額も保育園の副食費相当額ということですが、あまりに給食の保障にとらわれすぎて物価高騰全体に対する影響が狭い視野で検討されている様に感じます。食事は給食だけではありませんし、物価高騰は食費以外にも大きな影響を与えています。

高校生になればただでさえ教育費がかさむ中で、食費だけでなく様々な生活費のボリュームが皆、大人同然となることは明らかであり、順調に収入が上がらない世帯については尚のこと苦しいことは想像に難しくありません。
子育て世帯の中で、今回の物価高騰の一番のあおりを受けるのは高校生のいる世帯だと考えても過言ではないはずです。

また、今回の補正予算書の中で気になる点はもうひとつ、給食費の無償化については、すでに第三子の無償化の為に市が負担分としていた831万5千円を当該交付金が活用できるという理由で財政調整基金に戻し入れるということをしています。
要は当初出ると決まっていたお金が浮いたから貯金箱に戻すということだと思いますが、
財源の確保も将来の為に大変重要とは理解できますが、当初から出ると決まっていたのであれば基金に戻すのではなく自治体として住民のために最大限活用できなかったのか、
例えばその分を高校生等へ給付対象を広げるために活用するといった方向へ考えることはできなかったのでしょうか。
本市在住の高校生ということであれば、長く本市で育ってきた可能性が高く、このまちでずっと育ってきて、次代を担う直前の世代に対し応援できないまちにどうやって誇りを持ってもらえるのか疑問です。
物価高騰により誰もが大変な状況だからこそ、これからの旭市、この国を担っていく高校生に目を向けてほしかった。その一言に尽きます。

以上のことを踏まえて、今回の物価高騰に対応する交付金の活用方法に高校生が含まれないことに合理的な理由が見つからず、協議が足りなかったのではないかと考えます。

もちろん、今回の学校給食費の無償化や非課税世帯への給付、そして就学前児童応援臨時給付金事業自体には物価高騰に対する有効な支援だと考えます。

実際にすでに報道を見た方からは『給食費無償化になったらすごく助かる』『生活が厳しいから3万円もらえたら嬉しい』そんな声も届いています。
この議案に反対することは給食費の無償化や子育て世帯への給付に反対することになるため、そういった声をいただいている方をはじめ、同じ年代の子どもを育てる子育て世代として共感をいただき、ご指示いただいている方々を裏切ることになるのではないか、頭をよぎらなかったといえば嘘になります。

しかしながら、私は子育て当事者だからこそ、議員としてこの議場に立っている以上、本当に必要なところへ必要な支援が届いているのか、事業の中身を公平に丁寧に見ていかなくてはいけないという責任があります。
そういった中で今回の補正予算は支援のきめ細やかさに欠けると判断しましたので、反対の討論とさせていただきました。
以上です。
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以下は参考資料として活用したものです。(年齢別で調査している近年のデータが残念ながら探し出せなかったので少し昔のものですが、世代間の比較には有効と判断し、活用しました。)

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/gaiyou.pdf

今回千葉県では小中学生と高校1年生の一人1万円給付があり、それをふまえて市町村によって対象外のお子さんへカバーするかしないかも地域により違い、不公平が出てしまった感はさけられません。

討論を終えて

結果は19人中、賛成17/反対2(私を入れて)
ほぼ見えていたことですので結果については何も感じませんでした(むしろ私以外全員賛成だと思っていたので1人くつがえって驚き)が、自分本位ではなく一生懸命市民全体を考えて前向きに意見する姿勢や、執行部(市役所)に対する是々非々(ぜぜひひ=良いときは良い、ダメと思ったらダメとはっきり言えること)な姿勢はしっかり示せたのかなと思います。→討論した理由①

『すごい良い反対討論だったよ!』とほとんどの議員の皆さんや、おまけに職員の方からも褒めていただきましたが(なんですか、あったか旭?)、なら賛同してくれよと思いますよね…(笑)
色々書けない、書ききれないことありますが、とにかく議員1人ではなかなかいきなり物事動かすのは難しいし、すごく精神的にもきついという表れでもあり、議会であまり嫌われないギリギリであらがうという妙技を磨きながら市政を明るく前に進めたい私です。。

今回は私の主張は却下となってしまい残念ではありますが、少しでも今後の執行部の意向に変化を与えられたなら良いなと期待しておりますので、どうかよろしくお願いいたします。→討論した理由②

最後まで読んでくださった皆さんありがとうございます。
どうか今後とも応援よろしくお願いいたします。

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